2025年の無人モビリティサービスの本格普及を目指し、2021年11月12日から2022年3月31日までという長期の実証実験が、超大型物流施設「GLP ALFALINK相模原」の敷地内で実施されることが発表された。
タジマ社製「GSM8」という小型EVバスを自動運転対応車両に改造し、自動運転レベル4(高度運転自動化)相当の実証を行うという。
実証に参加するのは、オープンソースの自動運転OS(基本ソフト)「Autoware」を開発するティアフォー、外資系物流施設大手の日本GLP、損害保険ジャパン、高精度3次元マップの開発を手掛けるアイサンテクノロジーの4社だ。
■日本最大級の施設で1年以上の長期実証
実証が行われる「GLP ALFALINK相模原」は、日本GLPが展開する総延床面積約67万㎡の日本最大級の最先端物流拠点だ。この拠点は、「Open Hub」(物流をもっとオープンに)、「Integrated Chain」(サプライチェーンをつなぐ)、「Shared Solution」(ビジネスの進化をサポート)という3つのコンセプトを持つ。
GSM8は10人乗りの手動運転車両で、タジマがレベル4の自動運転に対応できるよう改造するという。車両に乗車するのは「GLP ALFALINK相模原」で働く人々だ。長期の実証を経て、4社は早ければ2022年にサービス展開を開始したいようだ。
■長期実証で各社が担う役割は?
今回の長期実証で各社が担う役割は以下の通りだ。
- ティアフォー:レベル4相当の自動運転技術とサービス実証の実施
- 日本GLP:テストフィールドである「GLP ALFALINK相模原」の提供など
- 損保ジャパン:自動運転リスクアセスメントや遠隔見守りサポート、自動運転専用保険の提供
- アイサンテクノロジー:高精度3次元地図の作成と提供
ティアフォーと損保ジャパン、アイサンテクノロジーは自動運転で国内有数のプレイヤーであり、3社は「走行前の事故予防」「走行中の見守り」「万が一の事故への備え」で自動運転走行を安心・安全面で総合的にサポートするインシュアテックソリューション「Level Ⅳ Discovery」の開発も進めている。
■今ある車両(=資産)を有効活用
既存の小型EVバスを改造して大規模施設で長期の実証を行う4社。早ければ2022年にもサービスインしたいという。
自動運転車は多くの機能を搭載しているため価格が高いが、今回の実証のように既にある車両(=資産)を活用して自動運転に対応できるようになることは、多くの企業や事業者にとって朗報だろう。
既存車両を生かした自動運転への活用は自動運転社会の普及にも追い風だ。今後の実証の経過にも注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転が可能な車種一覧(2021年最新版)」も参照。