「小売×自動運転」の超有望市場を制する企業はどこか——。いま多くのベンチャー・キャピタル(VC)やエンジェル投資家がこの領域における成長企業を探している。そんな中で米Gatik(ガティック)社は、多くのVCや投資家の関心を引き付ける存在となっている。
このGatik社は中長距離向けのボックス型自動運転トラックなどを開発している企業で、これまでにアメリカ国内では米小売大手のウォルマートと連携し、倉庫間や顧客の近くの拠点まで商品を自動運転車で運ぶ取り組みを行ってきた。
こうした輸送は「ミドルマイル・ロジスティクス」(ミドルマイル物流)などと呼ばれるBtoBビジネスの範囲で、Gatikはミドルマイル物流向けの自動運転車の開発で一際存在感を高めている存在と言える。
そしてつい先日、Gatik社は新たな発表を行った。Gatik社がカナダの小売企業Loblawと提携し、カナダで初めて自動運転トラックによる商品配送をスタートさせるというのだ。カナダでもミドルマイル物流の取り組みを行っていくという。
具体的には、2021年1月からカナダのオンタリオ州トロントで自動運転トラック車両5台を導入し、さまざまな温度帯の商品をピッキングセンターから小売拠点に配送する役割を担うという。
■toC向けでは米Nuroが有望スタートアップ
Gatik社は2017年に創業したスタートアップ企業で、現在は米カリフォルニア州パロアルトのほか、すでにカナダのトロントにも拠点を設けている。
創業からわずか数年でここまで存在感が高い企業となったのには、もちろん同社の技術力の高さも理由としてあるが、いかに「小売×自動運転」が有望な市場かを感じさせる。
ちなみにGatik社はB2Bのミドルマイル物流をビジネス領域としているが、toC向けでは米Nuro(ニューロ)などが有望企業だ。ソフトバンク・ビジョン・ファンドも投資しているNuroはスーパーマーケットなどから消費者に直接商品を届ける小型自動運転車を開発しており、近年ビジネス規模を拡大している。
日本でもいずれ、B2Bのミドルマイル物流でもtoC向けの商品配達でも、自動運転車が大いに活躍する時代がやってくることもあり、こうした先行事例には早いうちから注目しておきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転宅配ロボットのNuro、コロナ禍でビジネス規模300%成長」も参照。