イスラエルのスタートアップ企業であるForetellixは2020年7月10日までに、車両運動シミュレーションツールの提供会社である株式会社バーチャルメカニクス(本社: 愛知県名古屋市/代表取締役社長:滝田栄治)との協力関係を発表した。
報道発表によれば、Foretellix社は「Foretifyプラットフォーム」と開発しており、このプラットフォームは、「組合せの組合せ」によって膨大な数のシナリオを自動生成する機能を有している。
Foretellix社は2019年1月、事業開発段階の「シリーズA」で1400万ドル(約15億円)の資金調達を実施している。シリーズAにおける資金調達額としては高めで、業界からの注目度も高まっている。
両社は日本において、このForetifyプラットフォームのADAS(先進運転支援システム)と自動運転車の試験への導入が進むよう、今後動いていくようだ。報道発表で紹介されている同プラットフォームの主な機能は以下の通り。
- シナリオとカバレッジ目標の両方を抽象的に記述する、測定可能なシナリオ記述言語(M-SDL)
- 「組合せの組合せ」による膨大な数の有効なシナリオのバリエーションを自動生成する機能と、シナリオのカバレッジとKPIをチェックしてトラッキングするモニタリング機能
- すべてのテストプラットフォーム(例えば、路上走行、テストトラック、シミュレーション、X-in-the-loop)からのカバレッジデータを集約する機能
- 現状を把握し、次に何をやるべきか、また、いつ完了したかを判断するための開発者向け分析機能と指標
■自動運転の安全性向上には「膨大なシナリオ」が必要
自動運転車の実用化・市販化に向けては、さまざまなシチュエーションでの仮想試験が欠かせない。
人間は臨機応変な運転ができるが、システムの場合は人間のように柔軟な対応がしにくい。そのため、自動運転AI(人工知能)にさまざまなシナリオを学習させ、走行中に直面する確率が低い状況の下でも最善の判断をできるようにしておく必要がある。
こうしたときに活躍するのがForetifyプラットフォームで、膨大な数のシナリオを自動作成する機能などによって、シミュレーション試験を通じて自動運転システムの安全性能を高めることができるとみられる。
バーチャルメカニクス社の滝田栄治代表は同プラットフォームを「実車試験を大幅に削減し、開発効率と安全性を飛躍的に高める独自なテクノロジー」と評価した上で、導入の促進を通じて日本における自動運転技術の安全性検証を加速させることに意欲を示している。
【参考】関連記事としては「OKI、自動運転向け道路インフラシステムのシミュレーション技術を開発」も参照。