測定機器の専門商社である株式会社東陽テクニカ(本社:東京都中央区/代表取締役社長:五味勝)は2020年7月1日までに、「IMU」(慣性計測装置)で得られた加速度データから人間と自動車の移動軌跡を算出し、両者の位置関係を特定するための解析方法について、2020年4月8日に特許を取得したことを発表した。
■自動運転開発への応用に期待
IMUは、加速度と角速度を検出する装置のことだ。人と自動車に装着したIMUで計測した加速度データから、それぞれの移動量を計算して移動軌跡を算出し、両データのタイムスタンプを同期させると、両者の位置関係が特定できる。
約5cmの精度で2000回/秒の高頻度で検出でき、高低差のある地形でも誤差の少ない移動軌跡を描くことが可能だ。位置特定にGPS(全地球測位システム)などを使わない独自の計算処理で、屋内や樹木、建物の多い公道でも使用できる。
さらに、ペダル操作や操舵などIMU以外の計測システムデータを取り込んで同期できるため、自動運転開発の多くの場面で利用が期待されている。ドライバーの視線計測システムと同期すれば、ドライバーの視線が歩行者を捉えたタイミングやその時の歩行者と自動車の位置を正確に測定できるという。
■東陽テクニカ独自の新たな計測技術を製品化へ
1953年創立の東陽テクニカは、世界各国の最先端の計測機器を輸入販売する商社で、近年は自動運転関連製品も取り扱っている。日本の商社が海外の最先端製品を多く扱うことで、製品選びの選択肢を国内各社に広げる役割を担っている。
東陽テクニカは今後、特許を取得した独自の技術と最新の計測機器を組み合わせ、新しい自動車計測技術を開発し製品化していくという。
自動運転やADAS(先進運転支援システム)の開発研究への応用が期待される東陽テクニカの技術が、今後どう自動運転社会の到来に向けて活躍していくのか注目していきたい。
【参考】関連記事としては「東陽テクニカ、自動運転/ADAS用データロガーの販売開始 Zuragon社のViCANdo」も参照。