2020年度の中型自動運転バス実証、事業者5者と各テーマは?

事業モデル確立へ向け、日本各地で実施へ





経済産業省と国土交通省は、2020年度中に中型自動運転バスの実証実験を日本各地で行う予定だ。この実証実験を通じて運行モデルの確立や高齢者の移動手段の確保につなげ、公共移動サービスとしての事業化に向けた検証を進めるという。

両省はこれまで小型カートや小型バスでの実証実験に取り組んできたが、事業性の向上のためには中型バスでの取り組みが必要だと判断し、今回の実証実験の取り組みに至った格好だ。実証実験に使用するベース車両はいすゞ自動車の中型路線向けバス車両「エルガミオ」とされている。







この中型自動運転バスの実証実験を行うため、両省は2019年6月に交通事業者を公募し、既にバス運行業者を5者選定している。5者は2020年度中にそれぞれのテーマを掲げて実証実験を行う予定だ。運行ルートや実施時期などの概要を見ていこう。

出典:経済産業省の公表資料
■西日本鉄道:空港と臨海部の事業所・住宅等をつなぐ交通網の確保

中型自動運転バスのプレ実証として、小型自動運転バスでの実証も行うのは西日本鉄道株式会社(本社:福岡市博多区/取締役社長執行役員:倉富純男)だ。プレ実証は2020年2月3〜29日まで福岡県北九州市の苅田町地域で行われ、実験車両は先進モビリティの実験車両を使用する。

中型自動運転バスの実証では「空港と臨海部の事業所・住宅等をつなぐ交通網の確保」をテーマに、北九州市苅田町の朽網駅から北九州空港までの約10.5キロを往復する予定だ。期間は2020年7月中旬から11月中旬を予定しており、運賃は無料となる。

■茨城交通:BRT路線における自動運転バスの社会実装

乗合バスや旅行業・観光バス事業を手がける茨城交通株式会社(本社:茨城県水戸市/代表取締役社長:任田正史)は「BRT路線における自動運転バスの社会実装」がテーマだ。

日立電鉄線の跡地を利用したBRT(バス高速輸送システム)路線を利用し、JR常陸多賀駅から大甕駅を通り、道の駅「日立おさかなセンター」を結ぶ約10キロの往復で実証実験を行う。運賃は有料で、2020年8月下旬から2021年3月上旬までを予定している。

■京阪バス:都市拠点における新たな交通軸、賑わい創出

京阪沿線をはじめとする地域でバス輸送サービスを提供している京阪バス株式会社(本社:京都府京都市/取締役社長:鈴木一也)は、「都市拠点における新たな交通軸、賑わい創出」をテーマに滋賀県大津市で実証を実施する。

期間は2020年4月上旬から8月下旬を予定しており、運行はJR大津駅から琵琶湖ホテル、びわ湖大津プリンスホテルを結ぶ約3キロを計画している。

■神奈川中央交通:首都圏丘陵地の郊外住宅地における持続的な交通サービスの提供

神奈川県横浜市栄区で「首都圏丘陵地の郊外住宅地における持続的な交通サービスの提供」をテーマに実証実験を行うのは神奈川中央交通株式会社(本社:神奈川県平塚市/取締役社長:堀康紀)だ。

丘陵地帯が広がる桂山公園から、高齢化が進む住宅団地である「上郷ネオポリス」を通り、庄戸地区を循環する約6キロのルートを無料で運行予定だ。実施期間は2020年11月中旬〜2021年3月上旬を予定している。

■神姫バス:郊外住宅地における生活の質の向上に向けた地域内交通の確保

神姫バス株式会社(本社:兵庫県姫路市/取締役社長:長尾真)は2020年4月上旬から7月中旬、兵庫県三田市における最大ニュータウン地域である、ウッディ中央駅を起点とした約6キロの循環ルートで実証を実施する。テーマを「郊外住宅地における生活の質の向上に向けた地域内交通の確保」と掲げており、運賃は無料となる。

■【まとめ】高齢者の移動の足としてバスは重要な公共交通

過疎が進む農村地方だけではなく、最近では地方都市の郊外などでもバスの運行継続が困難なことが少なくない。利用者が減ったことで採算がとれにくくなり、運転手の確保も困難になりつつあるからだ。ただ一方で高齢者の移動の足としてバスは重要な公共交通として機能するため、維持することが求められている。

自動運転バスは最初の導入コストはかさむものの、自動運転レベル4(高度運転自動化)以上で運営できるようになれば、人件費を抑えての継続的な運行が可能になる。そのため、いまから国も力を入れて実証実験に民間企業とともに取り組んでいるわけだ。

【参考】関連記事としては「既にこんなに!?バスの自動運転、日本国内で実証続々」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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