自動運転車には走行試験は必須だ。自動運転システムやAI(人工知能)にさまざまなシーンを体験させ、人間によるシステムの改変や学習によるAIの能力向上に取り組んでいく必要があるからだ。そのためどれだけ公道で実証を行ったかは、その企業の技術レベルを予想する一つの手掛かりになる。
Googleからスピンアウトした自動運転開発企業ウェイモに関していえば、既に公道で2000万マイル(約3218万キロ)を走行したようだ。米ラスベガスで2020年1月7〜10日に開催された技術見本市「CES 2020」において、ウェイモのジョン・クラフチック最高経営責任者(CEO)が明らかにした。
2000万マイルといえば、地球約800周分だ。
■最初の10年で1000万マイル、その後1年で+1000万
クラフチックCEOによれば、ウェイモは同社がスピンアウトによって設立された2009年から自動運転の公道実証に取り組んでいる。
2000万マイルという数字に関しては、最初の1000万マイルの公道走行には10年かかったが、もう1000万マイルの走行実績を積み重ねるのに要した期間は1年ほどだったようだ。このことからはウェイモが公道実証を強化していることが改めて分かる。
ウェイモは自動運転タクシーを世界でいち早く商用化し、今もアメリカ国内でサービスを有償で提供している。このサービスは2018年12月からスタートしており、同サービスにおける走行実績も「2000万マイル」という数字に含まれているとみられる。
こうしたサービス展開を拡大すればするほど走行実績も積み重ねることができ、技術力のさらなる向上も可能になる。こうした意味でも「自動運転×実証」の面でウェイモは一歩抜きんでている。
■「公道実証×仮想実証」で高める技術力
ちなみにクラフチックCEOによれば、仮想空間におけるシミュレーション走行の実績距離は既に数十億マイルに上っているようだ。
公道においても私有地においても危険なシーンの実証実験はしにくい。また大雪やハリケーンなどの特異な環境での実証も実施しにくい。そう言う意味で、仮想空間における実証走行も公道実証と同じくらい重要だ。
「公道実証×仮想実証」でウェイモがどこまで自動運転の技術力を高めるのか、今後も注目だ。
【参考】関連記事としては「世界初の自動運転タクシー、商用化1年 グーグル系ウェイモ、提供拡大へ」も参照。