「蟹の動き」が可能なAI自動運転車、メルセデス・ベンツがCES 2020で発表

クルマと人の新たなコミュニケーションツールも



出典:メルセデス・ベンツプレスリリース

7日に米ラスベガスで開幕した世界最大の技術見本市「CES 2020」で、メルセデス・ベンツが「crab movement(蟹の動き)」を能力として備えた自動運転EV(電気自動車)コンセプトカーを発表し、注目を集めている。自動運転だけでも注目だが、さらなるイノベーションを追加した形だ。

自動運転車が真横に動けるようになれば移動効率が上がる。その例の一つが縦列駐車だ。例えば路肩に駐車されたクルマとクルマの間に挟まれた空間に駐車しようとすれば、その空間の横にクルマをつけ、クルマを「蟹歩き」で移動させればいいだけだ。


こうした動きを実現するのは、車体の後ろ側に設置された33個の「bionic flaps(バイオニックフラップ)」だという。

■手を置くだけで車両を制御できる技術!?

メルセデス・ベンツが発表した今回の自動運転EVコンセプトカーは「Mercedes-Benz VISION AVTR」と名付けられている。2009年公開のアメリカ映画「アバター」のコンセプトを盛り込んだ次世代車両という位置づけで発表された。自然との調和もコンセプトに掲げられている。

次世代の新たな自動車と人とのコミュニケーション方法として同社が提案する要素としては、手を置くことによって車両の制御の一部をコントロールする「multifunctional control element」に注目だ。人の心臓音や呼吸も車両側が検知するようで、よりAI(人工知能)にその人の感情に合わせた運転をさせるのかもしれない。

出典:メルセデス・ベンツプレスリリース
■「高級車」のイメージだが、自動運転開発は着々

高級車というイメージが強いメルセデス・ベンツだが、自動運転技術に関しても熱心に取り組んできた。その歴史は30年以上に上るとされ、2016年には自動運転技術を搭載した半自動運転バス「Future Bus」の公共交通としての走行試験を成功させている。


2018年9月に発表した自動運転コンセプトカー「Vision Urbanetic」では、モジュールを載せ替えることで貨物用にも乗客用にも用途を変えることができるアイデアを示し、注目を集めた。米半導体大手エヌビディアや独自動車部品大手ボッシュともこの領域で手を組んでいる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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