ついに「ハンドルなし」のAI自動運転実証へ、米GMが初認可の獲得濃厚

グーグルを猛追、2018年1月公表の構想具現化へ



どうやらいよいよ「ハンドルなし」の自動運転車の公道実証が、来年2020年にアメリカ国内でスタートすることになりそうだ。米ロイター通信などの報道によれば、米自動車大手GM(ゼネラル・モーターズ)による申請を米当局が認可する見通しとなっているという。

アメリカ国内では「ハンドルあり」の自動運転実証は既に多くの企業が行っている。「ハンドルあり」で「セーフティドライバーもなし」という条件で既にグーグル系ウェイモも自動運転タクシーの有償サービスに取り組んでいるが、これまで「ハンドルなし」での公道実証は行われていなかった。


米自動車大手GMの自動運転子会社クルーズ(Cruise)はこれまでに、こうした「ハンドルなし」での実証実施について米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)に判断を求めていた。GMは既にYouTubeでこうしたコンセプトの車両イメージを動画で公開している。それが下記だ。

この動画は2018年1月に公開されている。わずか30秒の動画だが、従来運転席だった場所にはハンドルが設置されておらず、ブレーキとアクセルのペダル類も見当たらない。報道によれば、来年にもNHTSAがGMに対してこうした車両の実証許可を出す見込みのようだ。

■「ハンドルあり」との根本的な大きな違い

ハンドルがない自動運転車とハンドルがある自動運転車は、根本的に大きな違いがある。それは、緊急時に車内に乗っている人が手動で運転ができるかどうか、という点だ。


ハンドルがない自動運転車の場合、車内に乗っている人が緊急時でも手動運転することができない。そのため、自動運転システムが故障した場合には、遠隔地にある管制センターの専門スタッフがカメラ映像をリアルタイムに観ながら運転操作を行うなどの対応が必要になる。

こうした遠隔運転は既にさまざまな企業が実験に取り組んでいるが、カメラ映像のリアルタイム性などがネックの一つで、次世代通信規格「5G」などを活用した高速通信や低遅延性などが求められてきた。NHTSAがGMに認可を出す場合、こうしたハードルをクリアしたと考えられる。

■出遅れ感払拭、GMへの注目度一気に高まるか

GMは自動運転タクシーの商用サービスのローンチ時期を当初は「2019年内」としていたが、それを延期していた経緯がある。この点はGMの同領域における出遅れ感を鮮明にした形だが、「ハンドルなし」での実証を他社に先駆けて展開した場合、一気に同領域での注目度が高まりそうだ。

【参考】関連記事としては「アメリカ×自動運転、最新動向まとめ」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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