MaaSについて学べる本6選 モビリティ市場の将来は?

サービスの研究開発や実用化、急速に進む



新たな成長分野として注目度が増しているMaaS(Mobility as a Service)市場。自動車メーカーをはじめとする交通事業者やIT系を中心に、サービスの研究開発や実用化が急速に進んでいる分野だ。


今後、MaaS市場はどのような道をたどっていくのか。今回は、その道しるべとなりそうなMaaS関連本をピックアップしてみた。

■『スマートモビリティ革命 未来型AI公共交通サービスSAVS』

世界の公共交通政策やスマートモビリティ革命について概説するとともに、著者らが設立したAIベンチャー「未来シェア」が推進している「未来型AI公共交通サービスSAVS(Smart Access Vehicle Service)」などの取り組みについて紹介している。

編著者は、札幌市立大学学長で株式会社未来シェア取締役会長も務める中島秀之氏、公立はこだて未来大学副理事長・教授で株式会社未来シェア代表取締役社長の松原仁氏、公立はこだて未来大学社会連携センター長・教授の田柳恵美子氏の3人。


公立はこだて未来大学出版会から2019年2月に発刊。2700円。

▼目次は次の通り
序章 スマートモビリティ革命へ
1章 世界の公共交通政策とスマートモビリティ革命
2章 未来型AI公共交通サービスSAVS
3章 スマートモビリティを実現する未来技術
4章 都市型デマンド交通とマルチエージェント社会シミュレーション
5章 未来のモビリティデザインと需要分析・予測・設計手法
6章 SAVS実証実験の全国展開と未来型AI公共交通への課題
7章 SAVS実証実験の舞台裏―マルチデマンド配車計算の実装
テクニカルノート 自動運転で走るSAVSの世界
8章 地域公共交通の現実とモビリティ革命への障壁
終章 SAVSで未来社会を創る

書籍ページは「こちら」から。

■『MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ』


MaaSで実現する近未来のまちづくりをはじめ、エネルギー業界から不動産・住宅、保険、観光、小売り・コンビニまで、MaaSの先にある全産業のビジネス変革を読み解く本格的な解説書。MaaSの本質、ビジネスインパクト、アクションプラン、他産業のビジネスチャンス、カオスマップなど、さまざまな視点でMaaSからのアプローチを図っている。

著者は、株式会社MaaS Tech Japan代表兼CEOの日高洋祐氏、計量計画研究所理事兼研究本部企画戦略部長の牧村和彦氏、日本総合研究所創発戦略センターシニアマネジャーの井上岳一氏、自動車新聞社代表取締役兼LIGARE編集長の井上佳三氏の4人。

日経BP社から2018年11月に発刊。2160円。

▼目次は次の通り
序章 MaaSは危機か、それとも輝ける未来か
1 モビリティ革命「MaaS」の正体
2 なぜMaaSのコンセプトは生まれたのか
3 日本におけるMaaSのインパクト
4 「新モビリティ経済圏」を制すのは誰か?
5 プラットフォーム戦略としてのMaaS
6 テクノロジー戦略としてのMaaS
7 MaaSで実現する近未来のスマートシティ
8 産業別MaaS攻略のアクションプラン
終章 「日本版MaaS」に向けて

書籍ページは「こちら」から。

■『LIGARE vol.37 MaaSがもたらす移動革命 』

モビリティサービスの専門誌LIGARE(リガーレ)のMaaS特集号。雑誌のため写真も豊富で非常に読みやすい。MaaSによる企業間連携やMaaS発祥のフィンランド企業「MaaS GLOBAL」をはじめ、さまざまな企業の取り組みをMaaS目線で取材・考察した成果が多数掲載されている。

著者(運営会社)は株式会社自動車新聞社。LIGAREの出版をはじめ、自動車新聞の発刊、自動車に関するセミナーの企画・運営などを手掛けている。

同社から2018年1月に発刊。1944円。

▼目次は次の通り
【Special】
・MaaS の到来 異業種間のアライアンス加速 CES2018
・フィンランド発のMaaS 交通のわずらわしさがなくなる日 MaaS GLOBAL
【Business Report】
・次世代の自動車開発を支えるモデルベース開発と材料の可能性
ダイキン×AZAPA SPECIAL INTERVIEW
・パナソニックが描くモビリティサービスとは 「永平寺参ろーど」実証実験
・自動運転時代の新材料を探る 三井化学の考えるモビリティ社会の素材の可能性
コネクテッドカーの発展にセキュリティで貢献する
BlackBerry QNX 事業戦略説明会
・「AI 時代の到来」にGPU テクノロジーはどう挑む? GTC Japan 2017 レポート
・スマホがクルマになる?ソニーの考える新しい移動体験 New Concept Cart SC-1
・サイバー攻撃からクルマを防御するソリューション開発 NNG
・これからの「ひと・まち・モビリティ」 東京モータショー2017 各社インタビュー
・未来の自動運転社会を見据えた運転支援サービス
「Drive Karte」 オムロンソーシアルソリューションズ
・マルチモーダルなモビリティ社会を目指す
JR東日本 モビリティ変革コンソーシアム設立
・ドコモのカーシェア事業参入の狙いとは
NTTドコモ 「d カーシェア」で個人間カーシェアをスタート
・台湾へいってみよう! ~ MaaS をいち早く取り入れる隣国~
モビリティジャーナリスト 楠田悦子
・ピックアップファイル

書籍ページは「こちら」から。

■『モビリティー進化論 自動運転と交通サービス、変えるのは誰か』

2030年の自動車産業における進化の方向性を新たな視点で提示する一冊。進化のけん引役として「自動運転」と「次世代型モビリティーサービス」を挙げ、これらに焦点を当てて普及シナリオの描出と既存事業へのインパクトの評価を試みている。

具体的には、各国における前提条件を多面的に考察し、その違いを踏まえた形で新たに生まれるサービスの普及シナリオを骨太、かつ詳細に描いているほか、現在の自動車産業へのインパクトを評価し、変化への対応策を提言している。

著者は、経営コンサルタントのアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社。日経BP社から2018年1月発刊。1944円。

▼目次は次の通り
第1章 交通システムで解決すべき社会的課題・ニーズ
第2章 世界各国の都市構造はこれだけ違う
第3章 各国の普及をけん引するのはどの産業か
第4章 既存の交通サービスはどこに問題があるか
第5章 各国で勃興する新たなモビリティーサービス(前編)
第6章 各国で勃興する新たなモビリティーサービス(後編)
第7章 モビリティーサービスとしての物流市場
第8章 ユーザーから見たモビリティーシステム変革のニーズ
第9章 モビリティーシステムの変革を国や自治体が後押し
第10章 自動運転車開発の「押さえどころ」を考える
第11章 自動運転車の販売価格はこうなる
第12章 自動運転型モビリティーサービスの開発をいかに進めるか
第13章 LSVが変える自動車業界
第14章 モビリティーサービスと自動運転、2030年の普及シナリオ
第15章 自動車市場への影響とプレーヤーに求められる行動

書籍ページは「こちら」から。

■『モビリティ2.0 「スマホ化する自動車」の未来を読み解く』

携帯電話市場で起きた変化に重ね合わせるような形で、自動車業界で起きるパラダイムシフトのメカニズムを解き明かす一冊。

従来の人やモノを運ぶモビリティ1.0時代から、「データを運ぶ手段」という新しい意味が加わるモビリティ2.0時代に着目し、都市を中心としたエコシステム、サービスとしてのモビリティなどについて詳しく説明している。

著者は、浜銀総合研究所調査部産業調査グループ主任研究員の深尾三四郎氏。日本経済新聞出版社から2018年9月発刊。1728円。

▼目次は次の通り
プロローグ 202×年、モビリティ大国・日本
第1章 2016年、潮目が変わった
第2章 モビリティ社会の主役、ミレニアル世代
第3章 温暖化と都市化が求めるエコシステムの構築
第4章 デジタル化の波--都市データの集積者が勝者に
第5章 中国 自動車「大」国から「強」国へ
第6章 大国インドと小国スイス
第7章 デザイン主導の新しいイノベーション
第8章 「オールジャパン」をやめる

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■『Mobility 3.0: ディスラプターは誰だ?』

2019年5月31日発刊予定の新書だが、期待を込めてピックアップした。グーグルやソフトバンクの戦略などに触れながら、CASEを中心にこれからの自動車業界に起こる変化について解説しているようだ。

著者は、アクセンチュア戦略コンサルティング本部マネジング・ディレクターの川原英司氏。東洋経済新報社から2019年5月に発刊予定。2160円。

▼目次は次の通り
序章 モビリティ3.0の世界で、人々の移動はどう変わるか?
第1章 CASEがすべてを変える
第2章 CASEからどのようなビジネスが生まれるのか?
第3章 CASEによって新たに生まれる事業機会
第4章 グーグルの戦い方
第5章 ソフトバンクの戦い方
第6章 CASE時代における自動車メーカーのモビリティ戦略
第7章 モビリティ3.0の世界を創造する

書籍ページは「こちら」から。

■【まとめ】モビリティの将来像を探るヒントに

新しい分野ということもあり、MaaS関連の本はまだまだ絶対数が少ないが、シェアリングエコノミーや公共交通の観点などから間接的にアプロ―チしているものもあり、その裾野は広い。今後、市場の拡大とともに発刊数も増加するものと思われ、読み比べる楽しさが味わえそうだ。

国内ではまもなく平成から令和へと時代が移り変わるが、自動車業界・モビリティ業界も変革の時を迎えている。新たな時代に乗り遅れないよう、大型連休などを活用してMaaSの将来像について勉強してみてはいかがだろうか。


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