トヨタWoven City、上空を「空飛ぶクルマ」に開放か

万博で機運逃したが…



トヨタのWoven City=出典:トヨタプレスリリース

トヨタとウーブン・バイ・トヨタはこのほど、Woven Cityに参画する新たなインベンターズ4社を発表した。AIロボット協会、第一興商、Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)、トヨタファイナンシャルサービスだ。

注目は、空飛ぶクルマの開発を手掛ける米Joby Aviationだ。具体的な中身は明かされていないが、空のモビリティエコシステム構築に向けた取り組みを進めるとしている。Woven Cityの上空が空飛ぶクルマに開放される可能性もある。


空飛ぶクルマ開発をめぐっては、世界的に商用化計画が遅れがちで、国内でも大阪・関西万博における商用化目標が未達成となり、開発熱も注目度も一気に下がった感を受ける。

一部でオワコン化目前とまで言われる空飛ぶクルマだが、Woven Cityで再び開発に火が付き、実用化に向けた取り組みが加速していくのか。空飛ぶクルマの最新動向について解説していく。

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■Woven City×Joby Aviationの概要

空のモビリティエコシステム構築へ

ウーブン・バイ・トヨタによると、AIロボットの開発促進・普及活動を行っているAIロボット協会は、ロボットの社会実装に向けた実環境での課題抽出とフィードバックサイクルの検討を行う。業務用カラオケ事業を手掛ける第一興商は、自由に歌えるカラオケの創造に向けた実証に取り組む。

eVTOLの開発・実用化を目指すJoby Aviationは、空のモビリティエコシステム構築に向け取り組む。自動車販売金融サービスなどを展開するトヨタファイナンシャルサービスは、モビリティ価値の計測・証明・流通をもとにした新しい販売金融手法の開発を進めるとしている。インベンターズはこれで計24社となった。


今回の件に関し、Joby Aviation自身はリリースを出していないため、具体的にどのような取り組みを行うかは不明だが、飛行実証とともにサービス化を見据えたさまざまな事業を行っていくものと思われる。

出典:Joby Aviation公式サイト

■空飛ぶクルマの開発動向

本格的な社会実装は未達……

Joby Aviationは2009年創業と早い段階で空飛ぶクルマの開発に乗り出しており、開発勢の中では世界トップ集団に位置付けられる。陸上の自動運転同様、2010年代に開発の機運が高まり、各社は2020年代前半など早期実現目標を打ち立てて開発に力を入れていたものの、本格的な社会実装には至っておらず、熱気は徐々に冷め始めている印象だ。

株式市場も冷静だ。Joby Aviationは2021年8月、早々とニューヨーク証券取引所に上場した。初日の終値は9.5ドルで、その後しばらくの間株価は低迷し一けた台が続いていたが、万博開催期間中の2025年6月に二ケタ台に突入し、2026年2月まで10ドル台を維持していた。その後は再び一ケタ台に留まっており、4月24日の終値は8.5ドルと伸び悩んでいる。

先行する中国EHang(イーハン)も同様だ。2019年2月に米ナスダック市場に上場し、2021年2月に瞬間的に100ドル台を超えたものの、その後は大きなピークもなく停滞し、現在10ドルほどで推移している。


英Vertical Aerospace(バーティカル・エアロスペース)も2021年12月にニューヨーク市場に上場を果たしているが、2024年末ごろに二ケタ台に上がったのちは停滞が続いており、直近では2.37ドルまで落ち込んでいる。

独Liliumに至っては、資金ショートを起こし経営破綻してしまった(現在各社・投資家が再建に向け協議中)。

未来のモビリティ銘柄は株式市場で苦戦傾向が続く。技術水準やビジネスモデルが評価されていないのかどうかは定かではないが、当初の実用化計画に遅れが生じがちで、投資家の多くが様子見しているのかもしれない。

日本では万博が重要なマイルストーンに位置付けられていた

日本では、「空の移動革命に向けたロードマップ」などにおいて、空飛ぶクルマの商用運航を実現する重要なマイルストーンに大阪・関西万博が位置付けられていた。世界中の人が目にする万博の舞台で、華々しく空飛ぶクルマをデビューさせる計画だった。

ANAホールディングス×Joby Aviation、日本航空(Soracle)×Archer Aviation、丸紅×Vertical Aerospace×LIFT AIRCRAFT、SkyDrive――の4陣営が参画することとなり、開催期間中、会場内外でヒトの輸送などを行う計画を公表していた。国内初の商用化事業だ。

出典:国土交通省公開資料

各陣営とも万博に向け開発や実証を重ねていたが、2024年に入って雲行きが一気に怪しくなった。開発そのものの遅れに加え、型式証明や耐空証明取得に時間を要するなど、計画の遅れが表面化し始めたのだ。

▼大阪・関西万博会期中における空飛ぶクルマ実証に関する振り返りアンケート結果
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001991334.pdf

丸紅とSkyDrive陣営は6月までに、残るANAとJAL陣営も9月までに万博での商用運航を諦め、デモフライトに切り替える方針であることが報じられた。全陣営が商用運航を諦めたのだ。

最終的には、Archer Aviationはデモフライトも断念し、LIFT AIRCRAFT の「HEXA」(計29フライト)、SkyDrive の「SD-05」(計17フライト)、Joby Aviationの「Joby S4」(計35フライト)の3機がそれぞれお披露目された。

万博の空飛ぶクルマ、全陣営が「デモ飛行」すら断念か

改訂版ロードマップでは2027~2028年度に商用運航

空の移動革命に向けた官民協議会は万博後、「空の移動革命に向けたロードマップ」を改訂した。もともとは、万博で商用化を開始し、2020年代後半にかけて商用運航を拡大していく方針だったが、最新版では2027年~2028年に一部地域で商用運航を開始することとしている。

▼ロードマップの改訂
https://www.mlit.go.jp/koku/content/001991336.pdf

限定的な二地点間運航や、空港アクセスの運用検証と一部先行的な運航開始、遊覧飛行、貨物輸送実証などを想定している。そして2030年代に導入地域の段階的拡大を図りつつ、遠隔操縦※による旅客輸送にも着手する計画だ。

東京都も2025年から2027年を期間とする「空飛ぶクルマ実装プロジェクト」を開始し、期間中にプレ実証、5年後の2030年には一般市街地での実装を目指す計画を掲げている。Joby AviationやSkyDrive、Archer Aviationなどの機体が活用されるようだ。

すでに機運を逃した?

新たな目標に向けすでに動き出しているのは好感が持てるが、国民目線で言わせてもらえば機運を逃した感が強く、温度はだだ下がりではないだろうか。話題性・ブームが去ってしまったのだ。

オワコン化とまでは言わないが、次の目標となる2027~2028年度に中途半端な形で実用化を果たしても、「ふ~ん」……くらいの感想しか出てこないかもしれない。

一度逃した機運は、それ以上の技術や環境、舞台を整えないと取り戻せない。日本市場に注目した海外開発勢の温度も下がりかねない。空気を一変させるような新たなムードメーカーの登場などに期待したいところだ。

【参考】関連記事「東京都、5年以内に「空飛ぶクルマ」商用化へ」も参照。

東京都、5年以内に「空飛ぶクルマ」商用化へ

機運の再向上に期待

このような環境下ではあるが、Joby Aviationは東京都の実証とは別にWoven Cityで新たな取り組みに臨むことを決意したようだ。トヨタと強力なパートナーシップを結ぶ同社は、Woven Cityでどのようなプロジェクトに着手するのか非常に気になるところだが、都の事業などと比べ自由度が高く、機体関連やプラットフォーム関連、連携関連などさまざまな研究を進めることができる。

改めて開発を加速し、SkyDriveらライバルとともに機運を高めてほしいところだ。

【参考】関連記事「Joby Aviationとは?「空飛ぶクルマ」で世界をリード」も参照。

米国ではパイロットプログラムのもと各州で実証へ

Joby Aviationは2016年の資金調達AラウンドでToyota AI Ventures (現Toyota Ventures)から出資を受けており、2020年のCラウンドではトヨタがリードインベスターを務め、生産などの領域で協業を開始している。

本拠地米国では、米政府が支援するeVTOL統合パイロットプログラム(eIPP)においてパートナーに選ばれたことを2026年3月に発表した。

このプログラムを通じて、2026年中にアリゾナ州、フロリダ州、アイダホ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ノースカロライナ州、オクラホマ州、オレゴン州、テキサス州、ユタ州で早期運航を開始する機会を得たという。2026年中に初期運用を完了し、2027年に生産能力を倍増する計画を掲げている。

また、Uber Technologiesとの提携のもと、ドバイでも2026年中にサービスを開始する計画を発表している。Joby Aviationは2026年に入ってから商用ヘリコプターサービスを手掛けるBlade社の旅客輸送部門を買収しており、実績のある商用ヘリを最初に導入し、エアタクシーサービスの拡大を図っていく可能性も高そうだ。

■【まとめ】次なるマイルストーンは2027~2028年度

空飛ぶクルマの次なるマイルストーンは、おおよそ2年後、2027~2028年度ごろに訪れることになりそうだ。世間一般の注目度は下がっていても、海外で実用化が始まれば再び温度が上昇し、国内の取り組みにも目が向けられる。

開発熱が高まり、そして利用者サイドの期待が高まってはじめて機運が醸成される。国の事業をはじめ、Woven Cityのような民間独自の取り組みにも注目しよう。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは?定義は?英語で何という?実現はいつ?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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