米EV（電気自動車）大手テスラの安全性に不安を感じさせるテスト結果の動画が、米国の活動家により公開された。
「完全自動運転ソフトウェア」の名称で知られるテスラの「FSD Supervised（監督付き）」を作動してスクールバスゾーンを走行中、子どものマネキンを強制的に急に横切らせると、テスラ車は急停止することなくマネキンを吹き飛ばしてしまった。
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■FSDの安全性をテストした結果…
「The Dawn Project」および「Tesla Takedown」と呼ばれる活動家グループは、テスラのADASの欠陥を暴こうとテストをテキサス州オースティンで行った。テスラ車がFSDを作動させ走行している最中に、子どもを模したマネキンをワイヤーのようなもので反対側から引っ張り、急に道路を横切るような状況を作るという内容だ。
すると、テスラ車はためらいなく子どもに衝突した。その後そのまま走行し続けているように見える。しかし公開された動画によると、子どものマネキンは路肩に駐車している車の影から飛び出してきており、たとえ人間の運転でも回避できなかったかもしれない。
本来、FSDは正式名称の「FSD Supervised（監督付き）」の通り、人間のドライバーが常に注意を払い、介入できる準備が整っていることを前提としている。もし今回のテストで人間のドライバーが運転していたならば、スクールバスゾーンということをあらかじめ頭に入れておき、スクールバスの点滅する警告灯を見てブレーキを踏むことができたかもしれない。
そのため単純にFSDの安全性が劣っているとは言えないだろう。今回のテストはテスラを批判する活動家グループにより行われたもので、FSDの安全性に対する疑念を煽り、同社のロボタクシー実用化などを阻止する狙いがあるように見える。実際、マネキンに衝突したら笑い声のようなものも聞こえてきており、この結果を面白がっているようにも感じられる。
【参考】関連記事としては「テスラの車載カメラ、「偽の壁」に騙され、盛大に突っ込む」も参照。
■最近は慎重姿勢が目立つテスラ
もうすぐにローンチが迫るテスラのロボタクシーサービスでは、「FSD Unsupervised（監視無し）」搭載の車両が運行されると予想されている。ただ、これまで大胆な戦略をとってきたように思えるテスラだが、初の自動運転実用化にあたっては、かなり慎重になっている。
ロボタクシーはオースティンの最も安全とされる特定エリアのみから運行を始め、SUV「Model Y」にFSD Unsupervised（監視無し）を搭載した約10台の自動運転車両を、社員が遠隔で監視する。ただしセーフティドライバーは同乗せず、ドライバーレスでの運行となる。
ロボタクシーサービス開始にあたりCEO（最高経営責任者）であるイーロン・マスク氏は「我々は、その交差点でうまくやれるという確信が持てない限り、その交差点を通らないし、その交差点を回避するルートを取る」と述べた。
【参考】関連記事としては「テスラの自動運転（Autopilot, FSD）とロボタクシー計画を徹底解説」も参照。
■ロボタクシーは成功する？
すでにロボタクシーを商用展開している米Google系の自動運転開発企業Waymoでは、反自動運転派により車両停止中に市民に妨害を受けたり破損されたりといったトラブルが起こっている。
テスラはロボタクシーサービスを順調に展開できるだろうか。何かと話題に事欠かないテスラだけに、先行きが少々心配だ。
【参考】関連記事としては「テスラのロボタクシー、「どこでも自動運転」戦略を断念」も参照。
