テスラのロボタクシー、「どこでも自動運転」戦略を断念

ジオフェンス(地理的制限)を使用



ついに自動運転タクシー(ロボタクシー)サービスを2025年6月からテキサス州オースティンで開始する米EV(電気自動車)大手のテスラだが、「最も安全とされる特定エリアのみ」から運行を始めるようだ。


同社のCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏はこれまで、どこにでも導入可能な汎用的な自動運転ソリューションを実現すると主張してきた。特定エリアでの運行からロボタクシーサービスをスタートすることは、大きな戦略的転換を意味することになると、米メディアは報じている。

数年前から「自動運転は近く実現する」といった趣旨の発言を繰り返してきたマスク氏。そのマスク氏が「ジオフェンス(地理的制限)」を使用せざるをえなかった背景とは?

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■テスラの戦略的転換とは

マスク氏は2025年5月20日、来月から始まるオースティンでのロボタクシー運用について、最初はテスラが「最も安全」と見なす特定のエリアに限定されることを米メディアのインタビューで語った。

マスク氏は「我々は、その交差点でうまくやれるという確信が持てない限り、交差点を通らないし、その交差点を回避するルートを取る」と述べた。また「この展開(ロボタクシーの運用)について極めて慎重になるつもりだ。慎重にならない方が愚かだ」とも付け加えた。


テスラのソフトウェア「Full Self Driving(FSD)」には、「FSD Supervised(監視付き)」と「FSD Unsupervised(監視無し)」の2つのバージョンがある。

同社はオースティンでの「極めて慎重」なアプローチの1つとして、SUV「Model Y」にFSD Unsupervised(監視無し)を搭載した約10台の自動運転車両を、社員が遠隔で監視することを明かした。ただしセーフティドライバーは同乗せず、ドライバーレスでの運行となる。

FSD Unsupervised(監視無し)を作動させての走行は、テスラの工場内ではすでに行われている。初の公道走行がオースティンで始動すると期待されていたが、監視付きとなると少々拍子抜けだと感じる人は多そうだ。

■「ジオフェンス」ありでの運用からスタート

これまでテスラは、どんな場所でも人間の監視無しで走行可能な自動運転システムを実現すると長年にわたり宣言してきた。オースティンでの最初の走行に「Geofence(ジオフェンス)」を利用するということは、大きな戦略的転換と、初の自動運転実用化に対し非常に慎重になっていることを感じさせる。


マスク氏は「少ない台数から始めて、全てがうまくいっていることを確認し、それに応じてスケールアップしていくのが賢明だと思う」とも語っているようだ。これまで強気の発言を繰り返してきた同氏としては、珍しく慎重になっていると言える。

なおジオフェンスとは、一般的には地図上に設定された仮想の境界線のことを指すが、自動運転業界では車両の運行範囲を特定の区域に限定することを意味している。マスク氏は、2025年4月の第1四半期の決算発表時にテスラがジオフェンスを使用する可能性についてほのめかしてはいたが、その時点では明確にその方針を採用するとは断言していなかった。

■他の都市でもロボタクシー展開を視野

テスラは最近、フランスとオーストラリアの走行難易度が高いエリアでFSD Supervised(監視付き)を作動させて自動運転走行した様子を公開した。運転席に人が座りハンドルに手を添えてはいるものの、車はスムーズに他の車両や歩行者を避けながら走行可能なことが証明された。

現段階で、FSD Unsupervised(監視無し)搭載のロボタクシーがオースティンで運行されることは間違いないようだ。またマスク氏は、2025年後半にはカリフォルニア州や他の州でも同様のロボタクシーサービスの試験運用を開始する可能性があると述べている。遠隔監視無しでの運用も見据えたテスラの挑戦はまだまだ続く。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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