LINEヤフーの川邊健太郎会長がX(旧Twitter)で、タクシー会社のみが展開を許可される日本版ライドシェアなどの「官製の制度」に、今後数百億円の補助金が使われようとしている現状について、税金などの国民負担率が45%台になっていることを指摘した上で、「一国民として全く受け入れられない」と批判している。
国民負担率は、国民所得に占める税と社会保障負担の比率を示す。日本における国民負担率が40%台と高い水準が続く中、川邊会長はライドシェアの導入目的の一つである移動手段の確保について、規制改革の実施で「ほぼ税金コストゼロ」で民間主導で解決し得ると説明する。
現在、税金を原資に事業を推進する自治体が、タクシー配車アプリ大手GOなどとタッグを組んでライドシェアの地域実装を進めている。川邊会長は「税金は規制改革や民間ではどうにもならない分野に使われて然るべき」と強調する。
日本のビジネス界を最前線で引っ張るこうした著名実業家の指摘に対し、今後、タクシー業界がどう対応するのか関心が集まりそうだ。
▼川邊会長のXの投稿
https://x.com/dennotai/status/1873574847865069778?s=46&t=zrsxvxwH9xdaS7j9WeI_9A
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■「官製ライドシェア」に莫大な税金投入
すでに成立した2024度補正予算では、「交通空白」解消のための緊急対策事業として、自治体が公共ライドシェアや日本版ライドシェアなどを立ち上げる際に税金による支援を行う内容が盛り込まれた。補助率は「500万円まで定額、500万円超部分は3分の2等」とされている。
▼令和6年度補正予算案 「交通空白」解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト(※PDF27枚目)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001850987.pdf
補正予算では、「『交通空白』解消等に向けた地域交通のリ・デザインの全面展開」の予算額として326億円が計上され、その全てが自治体のライドシェア導入支援費用に充てられるわけではないものの、莫大な税金が川邊会長が言うところの「官製ライドシェア」に投入されることは事実だ。
■GO社長は日本版ライドシェアに賛成の立場
日本版ライドシェアではタクシー会社しかサービスを展開できず、タクシー事業者としての許可を持たないUberやDiDiなどの世界大手は、日本法人を設立済みであるにも関わらず、ライドシェアを展開できない。こうした規制が、ライドシェアの速やかな普及を阻害しているという批判がある。
一方、日本版ライドシェアの展開における中心的な存在であるGOの中島宏社長は、自動運転ラボのインタビューに対し、現在のタクシー会社管理型の仕組みに賛成する立場を示している。
【参考】関連記事としては「GO社長が語る「ライドシェアとの向き合い方」 上場理由の一つに「川鍋会長の影響力排除」」も参照。
そこで自動運転ラボは今回、川邊会長のXでの投稿を受けてGOの中島社長に対し、前回のインタビューではタクシー事業者のみが行う今のライドシェアで良いと言及していたことに触れつつ、規制改革が進まないことで移動困難問題が解決されず、税金が投じられるという川邊会長の指摘についてどう反論するか質問した。
すると広報側から、直接補助金などを受けて自治体から事業を請け負っているケースは現状なく、「制度について何か申し上げる立場にもない」といった説明があり、実質、中島社長は質問には無回答、沈黙を貫いた格好となった。
■規制緩和しない方がGOにうまみ?
一方でGOはライドシェアに関し、自治体との協働での取り組みはしている。
例えば2024年は、長野県軽井沢町などと連携し、地元タクシー事業者による日本版ライドシェアをスタートさせている。神奈川県三浦市との取り組みもあり、「自家用有償旅客運送」(※市町村やNPO法人などがライドシェアを展開するための制度)の枠組みで、GOアプリにおける自家用車両へのマッチングの取り組みを開始している。
規制改革、すなわちライドシェアの展開が完全自由化され、今後、UberやDiDiもサービスを展開するようになれば、自治体がGOをパートナーとして選ぶ可能性は相対的に減り、自治体から間接的にGOに資金が流れるケースは少なくなるはずだ。
そのため見方によっては、このままの規制ありの状況がライドシェアで続く方が、GOにとっては自治体からの受託案件が舞い込みやすくなるというメリットがあるともとらえられる。
■再び「沈黙は金なりモード」突入か
ユーザーにとっても、サービスの提供事業者が増える方が事業者間の健全な競争により、低運賃化や利便性向上の恩恵を受けることができる。
中島社長は前述の自動運転ラボのインタビューで、ライドシェアに関して意見表明をしてこなかった理由について「『沈黙が金なり』と思い、発言しなかった」「誤解を与える発言をすると、マイナス方向のヒュージインパクトが発生するので」と説明している。
この中島社長のインタビューは、GOの広告継続の条件に「ライドシェア記事を削除」が一部メディアに通知された炎上騒動の説明をする趣旨で行われた。
今回、自動運転ラボのメールでのインタビューにおいて、中島社長からの直接的な返信はなかった。前回の炎上が静まれば、LINEヤフーの川邊会長のような著名人から重要な指摘が出たとしても、GOが再び「沈黙は金なりモード」に突入することを予感させる。
▼GOタクシー、広告継続の条件に「ライドシェア記事を削除」 突然の通知、猶予は1週間
https://jidounten-lab.com/u_50972
▼GOタクシーの「ライドシェア記事NG」騒動、著名人も反応 解禁の議論、再び活発化
https://jidounten-lab.com/u_51024
▼GO社長が独白!「ライドシェア記事NG」事件、ちらつく川鍋会長の影 「意図せず起きた」
https://jidounten-lab.com/u_51220
【参考】関連記事としては「ライドシェアとはどういう意味?問題点は?料金は?免許は必要?」も参照。