タクシーアプリ日本最大手の「GO」(ゴー)の広告を掲載している一部ウェブメディアが、ライドシェア関連の記事を掲載している場合、広告掲載の提携を強制解除することを一方的に通知されていたことが、2024年11月20日までに明らかになった。
提携を続けるには、11月24日までに記事を削除などする必要があり、猶予は約1週間。メディアによっては対象記事は100本以上に上る見通し。メディア側の「報道の自由」に対する圧力とも判断されかねず、上場を目指して準備をしている同社の姿勢に対し、批判的な声が上がる可能性もある。
タクシー会社に関しては、近年のライドシェア解禁の流れに反対してきた経緯がある。今回の通知は構造上、タクシーアプリ側がメディアに対し、広告の非掲載をちらつかせてライドシェアの記事の排除を実質的に迫っている格好となる。
■ライドシェア解禁に反対してきたタクシー業界
GOは、GO株式会社が運営するタクシー配車アプリ。GO株式会社は元々JapanTaxiという会社名で事業展開しており、2020年にMobility Technologiesに名称を変更後、2023年にさらにGOと社名を変え、現在に至る。
タクシー最大手の日本交通がGOに出資しており、GOの代表取締役会長は日本交通の元会長である川鍋一朗氏が務める。川鍋氏は一般社団法人「全国ハイヤー・タクシー連合会」の現会長で、同連合会は過去にライドシェア解禁を全力で阻止するといった旨の決議を行っている。
▼国民の安全を脅かすとともに地方創生の担い手である地域公共交通の存続を危うくする『ライドシェア』と称する白タク行為を断固阻止する決議
http://www.taxi-japan.or.jp/pdf/r5y7m26dsoukaiketugi.pdf
そんな中、2024年に入って「日本版ライドシェア」が解禁された。しかし、日本版ライドシェアはタクシー会社しか運営ができない制度となっており、「タクシー会社の既得権益を守るための骨抜きの制度だ」といった批判の声も大きい。
そのため実質的に、海外のようにUberやDiDiなどのライドシェア大手が直接的かつ自由に日本国内でライドシェアサービスを展開できない状況だ。
■広告継続の条件を間接的に通知
そのような状況の中で、ライドシェアの記事をメディア側に削除させようと、GOの広告掲載の提携の解除に関する冒頭の通知を、マーケティング業務の委託先企業を通じて間接的に行った形だ。
一般論として、ライドシェア関連の情報がインターネット上から減れば、ライドシェアの利用が日本国内で促されにくくなり、タクシー会社に利する可能性が高い。
一方、日本国内でもライドシェアの全面解禁を待望する声は少なくなく、今後のGOの動き次第によっては、タクシー業界に対する批判的な声がSNSなどを通じて大きくなる可能性もありそうだ。
【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?メリット・デメリットや問題点は?料金は?免許は必要?」も参照。