英国のシニアドライバーの5人に1人が、自動運転車を信頼できないと考えていることが、調査により判明した。英国で行われた自動運転に関する最新の調査によると、自動運転車に対する信頼感は世代が上がるにつれ低下していくことが分かった。
自動運転などの先進技術は、若い世代の方がより柔軟に受け入れることができそうだ。しかしそもそも自動運転車は、交通事故の削減に重点を置いて開発されている。高齢になると判断力や瞬発力が衰え、交通事故につながることが多く、今後、自動運転車を最も利用してほしいのはシニア層だ。
そうなると、この世代に対する自動運転車の社会受容性を高めるアプローチがより必要になっていきそうだ。
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■65歳以上の大部分は自動運転車を信頼せず
英国では、早ければ2026年にも公道で自動運転車の運用がスタートする予定だ。英国の交通事故の88%はヒューマンエラーが原因となっており、自動運転車はこの削減に寄与すると考えられている。
しかし1959年以前に生まれたドライバー、つまり65歳の5人に1人が、自動運転車の技術や安全性に不信感を抱いているという。65歳以上の人のうち「自動運転車を信頼できる」と回答した人は、わずか12%であった。18〜26歳で33%となっているのとは対照的な結果となった。なお55〜64歳では15パーセントとなっており、年齢が上がるにつれ先進技術に懐疑的な人が増える傾向にあることが分かる。
また55〜64歳の人のうち17%は自動運転車を信頼していない。さらに22%は、自動運転車を導入しても交通安全レベルは上がらないと考えているという。
ただし英国内でも地域により自動運転車への信頼度は異なっている。ロンドンでは21%、イングランド東部は19%で、都市部の方が信頼度が高い傾向にあり、そのほかの地域ではさらに低くなっている。
■日本では世代間でそれほど違いなし
日本でも、自動運転車に関する意識調査が行われている。クルマのサブスクなどを展開するトヨタ系企業・KINTOは、2024年1月に「完全自動運転」に関する世代別比較調査を実施し、その結果を公開している。今回の英国の調査とは違う結果となっているようだ。
完全自動運転を期待している割合は、シニア層で56.5%、40〜60代で51.1%、20〜30代で56.1%となり、世代間での差は少ないことが分かった。期待する理由として、全世代共通のトップ3は「自身の移動が楽・便利」「高齢社会の移動支援」「交通事故の削減・安全性の向上」となっている。
特にシニア層では、「高齢化に伴う技量低下の一助」「免許返納者の活動範囲が広がる」「田舎での生活には車が不可欠になるが、完全自動運転になれば高齢でも安全な移動が可能になる」といった理由から、自身のライフスタイルの自由度が上がると期待する声が出ている。
▼完全自動運転の実現、各世代の期待はどのくらい?使いたいシーンや車内に欲しい設備・装備が明らかに
https://corp.kinto-jp.com/news/press_20240208/
■シニア世代と相性がいい自動運転
高齢ドライバーによる事故が深刻になっている現在、自動運転車はシニアドライバー・高齢ドライバーと最も相性が良さそうだ。
各国で自動運転タクシーの導入が進んでいる。自動運転車を「所有」するのは不安でも、自動運転タクシーを「利用」するのは体験してみたいという人も多そうだ。まずは自動運転タクシーサービスからシニア層にアプローチしていく方法がいいかもしれない。
【参考】関連記事としては「完全自動運転の車内、20〜30代「飲食したい」最多!シニアは「景色楽しみたい」」も参照。