トヨタWoven City、まさかの「手動運転は禁止」条例?制定される可能性は?

先進的な実証都市で「独自ルール」が!?



出典:Flickr / DennisM2 (CC0 1.0 : Public Domain)

トヨタ自動車による実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)は、2025年の実証実験開始に向け建設が進められている。モビリティのためのテストコースとして活用される計画で、最先端の街になるだけに、まさか「手動運転は禁止」といったWoven Cityという私有地で適用される”トヨタ条例”が制定される可能性はあるだろうか。

実際のところ、手動運転が禁止されるようなことは少なくとも当面はないだろう。トヨタは「運転する楽しさ」を全面に押し出していることで知られている企業だ。また市販車で「自動運転車」と呼ぶことができる自動運転レベル3以上の車もまだ発表していないからだ。


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■Woven Cityとは?建設の進捗は?

出典:トヨタプレスリリース

Woven Cityは、静岡県裾野市のトヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地を活用して建設が進められている実証都市だ。豊田章男前社長が2020年1月に計画を発表し、2021年2月に着工した。

東京ドーム約15個分の広大なエリアに人が住み、モビリティのためのテストコースとして活用する予定で建設が進んでいる。この地で行われるのは、トヨタが掲げる「幸せの量産」を目指したさまざまな実証実験だ。

エリア内の地上・地下に独自の動線を設ける計画になっている。地上には、自動運転車のための道と歩行者のための道、歩行者と低速移動するパーソナルモビリティのための道の3種類の通路を設ける。地下にはモノを運ぶための道を設け、物流ネットワークを支える設備を設置する予定となっている。

2024年10月23日に更新された公式Facebookでは、同年10月中旬に撮影した建設現場の写真が紹介されている。「建物の工事だけでなく、建物周辺の整備や環境を整える工事も進めています。地面にも緑が見えてきました。」との説明があり、4階建ての住居になるような建物のほか、大きなホールのような建築物も確認できる。カーブを描いた街路もできている。


【参考】関連記事としては「トヨタWoven Cityの設計図、Facebookで「うっかり投稿」か」も参照。

■トヨタが強調する「Fun to Drive」とは?

出典:トヨタプレスリリース

トヨタは1984年から1987年にかけて企業スローガンに「FUN TO DRIVE」を使っていた。その後、東日本大震災からの復旧が進み、世界で挽回生産が始まっていた2011年10月に日本で新たな企業広告キャンペーン「FUN TO DRIVE, AGAIN.」を開始した。

「日本人の気持ちをもう一度ドライブさせたい」「もう一度新しいクルマの楽しさを創造させたい」という想いが込められており、クルマ本来の楽しさに加え、「つながる」や「未来のクルマ社会」も含めた新しい時代の「クルマの楽しさ」を届けていくという同社の決意を表したものになる。

またトヨタのオウンドメディア「トヨタイムズ」では、「クルマ屋ならではの電気自動車とは?トヨタがこだわるFun to Drive」というトピックが2023年7月に特集されている。「『トヨタのBEV(電気自動車)はコモディティにしない』。BEVシフトが叫ばれる中、トヨタが公開した最新技術には、クルマが大好きなエンジニアたちの情熱があふれていた」として、BEVになっても運転は楽しいこと、最新AI(人工知能)と車載OS「Arene(アリーン)」で最高の車内空間を演出できることなどが紹介されている。


なお同年11月の豊田章男会長が質問に回答する記事では、「新興国のモータースポーツ活動でやるべきことは?」という問いに対して、豊田会長が「FUN TO DRIVE。どれだけの笑顔を得られるかということだと思います」と答えている。

■トヨタの自動運転開発状況

出典:トヨタプレスリリース

運転する楽しみも提唱しているトヨタだが、自動運転車など最新のモビリティ開発にも積極的に取り組んでいる。

その代表例が、2018年に初公開されたAutono-MaaS専用EV「e-Palette(イー・パレット)」だ。移動や物流、物販など多目的に活用できるモビリティサービス(MaaS)専用次世代EVとなる。

2022年2~3月には、東京都の事業のもと臨海副都心エリアでe-Paletteを活用した自動運転実証が行われた。Mobility Technologies(現GO)やトヨタ、ティアフォーら7社が参加し、自動運転による回遊性向上や賑わい創出などの地域課題解決可能性の検証、自動運転車両を活用した新しいモビリティサービスの事業性、受容性、有効性の検証などを進めた。

2023年6月に開催された技術説明会「Toyota Technical Workshop」では、e-Paletteの移動コンビニ仕様が紹介された。ワークショップでは、運転席を備えたe-Paletteの情報も発表されたようだ。あえて運転席を後付けすることで、さまざまな場所でさまざまな実証を行いやすくする狙いがあるものと思われる。2024年1月には、愛知県豊田市で自治体初となるe-Paletteを活用した乗客移動サービス実証が行われている。

また自動運転用として「シエナAutono-MaaS」の開発も行っている。この車両は、トヨタが北米などに向けて販売している日本未発売のミニバン「シエナ」を自動運転化したものだ。

2023年12月に、自動運転ベンチャーの米May Mobilityがアリゾナ州の退職者コミュニティ地区でシエナAutono-MaaSを用いたドライバーレスの自動運転サービスのアーリーライダープログラムを開始している。2024年5月には、東京都が開催する未来の都市モデルを発信する国際イベント「SusHi Tech Tokyo 2024」に出展した。

■2025年の実証開始に期待

「幸せの量産」を目指すモビリティのためのテストコースであるWoven Cityでは、さまざまな立場の人がより暮らしやすい・使いやすいモビリティの在り方が模索されていくのかもしれない。それにより、トヨタの考える「幸せ」を量産していくことになるのだろうか。

実証実験は2025年にスタートする予定だ。どんな街となっていくのか、注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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