自動運転スタートアップの株式会社ティアフォー(本社:愛知県名古屋市/代表取締役社長:加藤真平)は2024年7月20日までに、大規模データ共有による自動運転AI(人工知能)開発においてタクシー大手の日本交通と協業することを発表した
ティアフォーが開発したデータ記録システム「Data Recording System:DRS」を搭載した車両を用いて共同でデータを収集し、大規模な共有データ基盤の構築を推進するという。DRSは、車両の周囲360度や挙動に関するデータを高精度に記録することができるシステムだという。
広範囲のデータ収集が可能なタクシーの配備がスタートしたことになる。
■タクシー車両によるデータ収集開始の背景
ティアフォーは、自動運転のためのAI開発を拡大するための新たな取り組みとして、2023年から「Co-MLOps(Cooperative Machine Learning Operations)」というプロジェクトを進めてきた。これまで首都圏を中心にDRSの動作検証やCo-MLOpsプラットフォームで提供される機能の検証を進めてきた。
このたびDRSの車両配備と、アクティブ・ラーニング基盤を用いた効率的なデータ収集のための基本機能の準備が整ったため、日本交通との協業を通してデータセットの大幅な拡充を図るに至ったという。
なおDRSは、複数の高性能車載LiDARや高解像度車載カメラ、電子制御コンピューターを含み、車両の周囲360度や挙動に関するデータを高精度に記録するためのシステムだ。センサー間や電子制御コンピューター間の同期やキャリブレーションを行い、自動運転AI開発に必要な高品質なデータ収集を実現する。
■2024年は5台、2025年は20台以上を配備
2024年は日本交通の車両を5台程度用いて、主に東京都内でのデータ収集を行う。そしてティアフォーは、これまで収集したデータと併せて2024年末までに20万フレーム以上のアノテーション済みデータセットの構築を目指すという。
2025年以降は車両を20台以上へ拡大し、より広範囲で豊富な種類のデータセットの構築を進めていく。それにより安全な自動運転技術の開発に貢献していく。さらに今後のデータ収集計画に沿ったDRSの量産化の検討のほか、パートナー企業との協業を通して収集地域の拡大を行っていくとしている。
■技術開発がますます促進される!?
「自動運転の民主化」をビジョンとして掲げて自動運転開発を行うティアフォー。特定条件下で完全自動運転を実現する「レベル4」水準の自動運転タクシーによるサービス実証を開始することを2024年5月に発表した。
東京・お台場の複数拠点間でサービス実証を行い、同年11月から交通事業者と共同で事業化を目指す。使用車両は、ロボットタクシーの技術検証用途としてタクシー型リファレンスデザインを適用したJPN TAXI車両だ。
2025年にお台場を含む東京の3カ所、2027年までには都内全域でサービスを展開する計画になっている。これに合わせてロボットタクシー事業に適した新型車両の開発と製造も進めていき、順次市場に投入していく。今回日本交通と協力しデータ収集を行っていくことで、技術開発はますます促進されそうだ。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転開発、販売済み車両の「車載カメラ映像」活用」も参照。