米国のニュース雑誌である「TIME」が発表した「2024年 世界で最も影響力のある100社」に、Google系の自動運転開発企業である米Waymoが選出された。
100社は「Leaders(リーダー)」「Disrupters(破壊者)」「Innovators(革新者)」「Titans(巨人)」「Pioneers(先駆者)」のカテゴリーに分かれており、WaymoはDisrupters部門でドライバーレスの運転が評価されての選出となった。
▼TIME100 Most Influential Companies 2024|TIME
https://time.com/collection/time100-companies-2024/
■TIMEの「世界で最も影響力のある100社」
TIMEによる「世界で最も影響力のある100社」は3年前からスタートしたが、2023年に続いて選出されたのはわずか7社であったという。
2024年版に選出されたモビリティ関連企業としては、Leaders部門には日本のトヨタや独BMW、中国Baidu、Waymoと同じDisrupters部門には中国XiamiやベトナムのVinFastなどが挙げられる。また「Innovators」には米Google、「Titans」には米Amazonや中国BYD、米NVIDIAも名を連ねた。BYDやNVIDIAは3年連続で選出されている。
■Waymoが選出された理由は?
Waymoは今回が初めての選出となった。「Disrupters」というカテゴリーには、従来からあるビジネスや業界慣習などにとらわれず、創造的な破壊を行いながらも次世代につなげる事業を行っている企業が選ばれる。
Waymoはドライバーレスの自動運転タクシーの実用化を拡大し、SFファンタジーの世界でしか展開されていなかったものを現実のものにしようとしている点が高く評価されたようだ。
同社は2018年に世界で初めて自動運転タクシーの商用化をアリゾナ州フェニックスで行い、その後カリフォルニア州サンフランシスコやロサンゼルスにサービスを拡大している。特にフェニックスでは2023年に営業エリアを倍増させ、世界最大の完全自動運転サービスエリアを作り上げた。2025年にはテキサス州オースティンでもサービスを展開する予定となっている。
ただしTIMEは、連邦捜査当局がWaymoの車両が関与した事故や交通法規違反の可能性を調査していることについても言及している。急停止して交通を遮断するといったトラブルは市民にたびたび目撃されており、自動運転タクシーの導入に反対する声もある。
これに対しWaymoのCEO(最高経営責任者)であるTekedra Mawakana氏は、Waymoの自動運転タクシーは安全であると主張している。最初の700マイル(約1,121キロ)の走行において乗客がけがをするような衝突事故は、手動運転のクルマより85%少ないと説明しているようだ。米国だけでも毎年4万人以上が交通事故により命を落としており、自動運転はそれを低減させることに寄与するという。
ただ、過去にWaymo車が通学中の児童をひきそうになったり、同社の報告よりも多い件数の事故が発覚したりといったニュースを報じられている。技術開発と安全性確保の両立がどう行われていくのか、気になるところだ。
【参考】関連記事としては「あっ、危ない!Googleの自動運転車、通学児童の列に突入寸前」も参照。
■親会社のGoogleも選出
Waymoは、Googleの自動運転開発部門をスピンアウトする形で2016年12月に設立された。Googleも今回「AI from every angle(あらゆる角度から見たAI(人工知能)」という点での開発が評価され、Innovators部門で選出されている。
自動運転開発で世界をリードするWaymo。今後の展開にも注目だ。
【参考】関連記事としては「Google、自動運転車の事故で虚偽報告か 米当局、未報告事案を確認」も参照。