内閣府のワーキンググループにおいて、ライドシェアの法律制度に関し、性犯罪歴を確認する制度とすべきとの意見が出ていたことが、2024年5月17日までに判明した。
意見が出たのは、5月15日に開催された規制改革推進会議における「地域産業活性化ワーキング・グループ」の第13回会議だ。有志の委員がまとめた資料として意見が提出され、その中で触れられている。
【参考】関連記事としては「ライドシェアの法律・制度の世界動向(2024年最新版)」も参照。
■性犯罪対策・事故防止の事前審査に関して
上記の意見では、「法律制度に向けた議論の喚起のため、5月15日付で事務局から提示された法律制度に関する論点について、有志による意見を提示する」とされている。5月15日付で事務局から提示された法律制度に関する論点は、以下から閲覧することができる。
▼ライドシェアにかかる法制度に関する論点整理(たたき台)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/240515/local03_01.pdf
意見の中では「性犯罪対策・事故防止の事前審査」として、以下のように記載されている。該当箇所の全文を引用する。
上記のとおり、ライドシェアは対面ではなく遠隔による管理が前提となるため、ライドシェア事業者がドライバーに対する登録時の本人確認(eKYC 含む)、性犯罪歴及び事故歴の確認を行う制度とする(*1)。
車内ドライブレコーダー及びSOS機能が設置されていることをアプリ等で表示し、また事後に検査を行えるよう記録保持義務を課し、性犯罪行為を防止する。
*1 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(通称「日本版DBS法案」)(令和6年3月19日提出)参照
■3つの視点で指摘、改善策を提言
この有志による意見では3つの視点で、4月に解禁されたタクシー会社限定の自家用車活用事業について指摘が行われている。
かいつまんで説明すると、運営主体がタクシー会社に限定されていること、ドライバー確保に向けてデジタル技術が十分に活用できていないこと、運行可能な地域・期間が限定されていることで全国的な課題解決に結びついていないこと、の3つだ。
これらを解決するために、「ライドシェア事業」を許可制として新たに創設し、様々な事業者が参入できるようにすることのほか、アプリでの顔認証といったデジタル化の施策を進めること、地域的な制限を設けずに全国展開を可能にすること、などを意見として提出している。
■安心と全面解禁を同時に実現を
現在のライドシェア制度は「日本版ライドシェア」と呼ばれ、ライドシェアが完全解禁されている国と比べると、かなり規制が多いものとなっている。一方、ライドシェアに関しては安全・安心の面で不安を感じる日本人も少なくないことから、安心できる仕組みを構築した上で規制を無くしていく方向性が望ましい。
今回の意見は以下から閲覧することが可能だ。関心がある人は目を通してほしい。
▼ライドシェアの法律制度に係る論点についての意見
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/240515/local_ref02.pdf
【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?仕組みは?(2024年最新版)日本の解禁状況や参入企業は?」も参照。