打倒テスラ狙うTuring、自動運転EV「100台生産」へ5.2億円を追加調達

2021年設立ベンチャー、累計調達額は15.2億円



出典:チューリング・プレスリリース

自動運転EV(電気自動車)の開発に取り組むTuring株式会社(本社:千葉県柏市/代表取締役CEO:山本一成)=チューリング=は2023年9月7日までに、プレシリーズAラウンドとして合計5.2億円の資金調達を実施したことを発表した。

出資したのは、エンジェル投資家5人のほか、同社CEO(最高経営責任者)の山本氏とCOO(最高執行責任者)田中大介氏の合計7人だという。これにより、シードラウンドで調達した10億円と合わせ、累計調達額は15.2億円となった。


調達した資金は、2025年に100台の販売を予定している自社生産EVの開発費用に充てるとしている。

■北海道1周の95%を自動運転で走行

チューリングは「We overtake Tesla」(テスラを越える)をミッションに掲げ、レベル5相当の完全自動運転EVの量産を⽬指すスタートアップだ。将棋名人を倒したAI「Ponanza」の開発者として知られる山本氏と、カーネギーメロン大学などで自動運転開発に関する見識を深めてきたCTO(最高技術責任者)の青木俊介氏を中心に、2021年8月に設立された。

AI(人工知能)技術・認識技術に強みを持ち、AIによる「走れば走るほど賢くなる」完全自動運転システムを開発している。また、マルチモーダル学習技術・自然言語処理技術を取り入れることで、より人間の判断・頭脳に近い自動運転システムの研究に取り組んでいるという。

同社は2022年9月に、千葉県柏市内での公道における自動運転走行を開始した。同年10月にはAI自動運転走行による国内初の北海道1周長距離走行実証を実施、総走行距離1,480キロのうち約95%を自動運転モードで走行することに成功した。


また2023年1月に自社開発の走行データベースを用いた信号機の高精度識別モデル、同年3月に自動運転のための国産LLM(大規模言語モデル)の開発に着手したことを発表した。

また完全自動運転EVのコンセプトカーを同年3月に発表している。画像生成AI(人工知能)「Stable Diffusion」をフル活用してデザインしたものだという。

【参考】関連記事としては「1,000兆バイトの学習データで、「人の頭脳」的な自動運転」も参照。

■新たな「中長期的な応援団」を獲得

チューリングは2023年6月に、自動運転に関する特許を2件同時に出願したことでも知られる。創業からわずか2年ながら、完全自動運転車の実用化に向け、スピード感を持って開発に取り組んでいることが分かる

同社は、2025年に自社生産のEVを100台生産、2027年に完全自動運転EVの量産をスタートさせ、2030年には完全自動運転EVを1万台生産するという予定を立てている。また、2030年の上場も計画しているようだ。

今回の資金調達ラウンドに参加したエンジェル投資家らには、「チューリングの中長期的な応援団」として、経営に関するアドバイスや製品に関するフィードバックを受けているという。

■日本そして世界で新風を巻き起こす!?

「テスラ越え」を目指して躍進し続けているチューリング。日本そして世界で新風を巻き起こしていくか、注目だ。

【参考】関連記事としては「テスラ越え目指すTuring、自動運転の特許を2件出願」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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