1,000兆バイトの学習データで、「人の頭脳」的な自動運転

日の丸ベンチャーTURINGが目指すこと



出典:TURINGプレスリリース

自動運転レベル5のEV(電気自動車)の実現を目指しているTURING株式会社(本社:千葉県柏市/代表取締役:山本一成)=チューリング=は、より人間の判断・頭脳に近いAI(人工知能)自動運転システムの実現を目指している。

その実現のためには、画像データや走行データの大量な取得が必要だ。同社は2022年12月から、学習素材集めのために本格的に国内最大規模となる画像・走行データの取得に乗り出す。


■データベースは1,000兆バイト規模に

チューリングは機械学習に必要な画像・走行データを取得するため、自社開発の収集キットが搭載された車両に乗車するデータ取得チームを結成している。フェーズ1として2022年4〜10月に、500時間分の走行データの試験取得を完了している。

フェーズ2となる2022年12月から2023年末までには、5万時間分の走行データベース構築を目指すという。広範囲の道路で多様な角度気候条件のもと、車両からの画像データや車両に関するデータを取得し、データベースは約1,000兆バイト規模になるようだ。

チューリング社のAI自動運転チーム「Brainチーム」には、機械学習やMLOps(機械学習基盤)、クラウドなどの専門性を持つエンジニアが所属している。今回のデータ収集プロジェクトに向けても、学習データ基盤の構築やカメラデータ収集機器の開発などに取り組んできたという。チューリングは同プロジェクトのために、積極的な採用活動を実施していくようだ。

出典:TURINGプレスリリース
■北海道で1,300キロ以上を自動運転

2021年8月に設立のチューリングは、完全⾃動運転EVメーカーになることを⽬指すスタートアップだ。「We Overtake Tesla」(Teslaを超える自動車メーカーを作る)をスローガンに掲げており、AI技術により場所や走行条件を問わず、いつでもどこでも自動運転が可能な「自動運転レベル5」(完全自動運転)の実現を目指している。


2025年に自動運転機能付き車両の販売開始を予定している同社は、設立からわずか1年ほどの2022年10月に、北海道の公道1,300キロ以上において自動運転モードでの走行に成功している。同社は北海道以前にも、千葉県の公道や日本自動車研究所所有の城里テストセンター内で、自動運転システムの開発や検証を実施している。

■今後どのような発表があるのか注目

テスラを超える自動車メーカーを作るというスローガンのもと、大きなスケールと勢いを持って開発を進めるチューリング。2025年の販売開始予定を前に、同社から今後どのような発表があるのか、引き続き注目していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)





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