国内初の「量産型」の自動運転EVバスが、長野県塩尻市で走行試験に挑む。開発したのは、自動運転OS(基本ソフト)を開発するベンチャーのティアフォーだ。走行試験を経て、自動運転移動サービスを2025年度に本格導入することを目指す。
■自動運転レベル4の実用化に向けて
今回の実証実験は、自動運転レベル4(高度運転自動化)の実用化に向けたものだ。塩尻市は2020年から継続的に自動運転の地域導入の検討と実証走行による検証を進めてきた経緯があり、そのために関連企業や関連機関、地域住民が連携してきた。
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実証実験は8月から開始され、自動運転の際に必要となる高精度3次元地図については、測量大手のアイサンテクノロジーが作成する。地域住民も高精度3次元地図の作成に参加していることも特徴だ。
実証実験では、走行試験のデータなどの分析を通じて自動運転の安定性の向上を図るほか、人間による介入頻度やその発生地点・シーンなどのデータを収集し、レベル4に向けた技術開発を前進させるという。
そして冒頭触れた通り、2025年度に自動運転移動サービスを本格スタートさせる計画で、それを前に、2024年度には道路運送車両法に基づく一部ルートにおけるレベル4の認可を取得することを目指すという。
■自動運転分野の筆頭格の2社が協力
日本政府は2025年度に自動運転移動サービスを全国100カ所で展開することを目指している。今回の走行試験が無事成功し、さまざまなデータも蓄積できれば、塩尻市がこの「全国100カ所」に含まれることになる可能性が高そうだ。
ちなみに今回の走行試験を担うティアフォーとアイサンテクノロジーは、自動運転の実用化や実証実験では筆頭格の企業だ。ティアフォーは自動運転OS「Autoware」の開発などで世界的にも注目されており、アイサンテクノロジーの測量技術を活かした自動運転向け地図の作成で注目されている。
【参考】関連記事としては「自動運転OS開発のティアフォー、世界的ユニコーンの一員に」も参照。
地域で走行試験を重ねるうちに、その地域における社会受容性も徐々に高まってくる。今後の塩尻市における官民連携の取り組みに注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転、日本政府の実現目標」も参照。