警察、クルマの「自動運転化」に賛成!

事故削減や渋滞緩和に有効と判断



自動車での走行を取り締まる立場にいる警察。自動運転車が増えれば徴収する反則金は減るが、警察はクルマの自動運転化に前向きな姿勢を示しているのだろうか。それとも警察自体は自動運転化に反対なのだろうか。


結論を書くと、警察は自動運転技術について「交通事故の削減や渋滞の緩和などに有効」としており、「我が国の道路環境に応じた自動運転が早期に実用化されるよう、その進展を支援する」と、明確に姿勢を打ち出している。

クルマが自動運転化するとヒューマンエラーや悪質な違反がなくなるため、反則金が科されることは以前よりも確実に減るが、そのことよりも交通事故が削減されることが警察にとって第一に重要であることは言うまでもない。

■実用化を後押しする警察の取り組み

警察庁の自動運転に関する姿勢については、デジタル庁が2023年7月24日に開催した「『モビリティ・ロードマップ』のありかたに関する研究会(第5回)」において警察庁が資料を提出している。

▼資料6-2:「自動運転の実現に向けた警察の取組について」
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/83b26b14-5c99-4268-970c-fefc1f0a7b71/d06372f0/20230725_meeting_mobility_roadmap_outline_02.pdf


出典:デジタル庁/警察庁(※クリックorタップすると拡大できます)

上記の資料によれば、警察による自動運転の早期実用化のための取り組みとしては、主に4つ挙げられる。

  • 道路交通法改正に伴い、レベル4に相当する運転者がいない状態での自動運転(特定自動運行)に係る許可制度を創設
  • 公道実証実験のためのガイドラインを策定し、道路使用許可などの特段の手続なしに実施可能な公道実証実験の対象を明確化
  • 遠隔型自動運転システム及び通常のハンドル・ブレーキと異なる特別な装置で操作する自動車の公道実証実験について、道路使用許可の申請に対する取扱いの基準を策定
  • 遠隔操作型小型車の届出の対象とならない歩道走行型ロボットの実証実験に係る道路使用許可基準を策定

警察の取り組みに関しては、警察庁交通局交通企画課の2023年5月14日付の以下の資料でも詳しく触れられているので、参考にしてほしい。

▼自動運転の実現に向けた警察の取組について
https://www.soumu.go.jp/main_content/000878281.pdf

■警察の日常業務の自動運転化も進む!?
出典:三笠製作所プレスリリース

上記で紹介した取り組みは、市販車や公共交通機関の自動運転化を後押しするものだが、世界的には警察の日常業務において自動運転技術を活用しようとする動きがあることにも触れておきたい。


例えばドバイ。ドバイ警察は自動運転が可能な移動式交番を導入することを目指している。ちなみにこの移動式交番を開発しているのは日本の三笠製作所だ。そのほか、中国では小型の自動運転パトカーのコンセプトカーが発表され、話題になったことがある。

まだ公に警察車両の自動運転化などが発表されている例は耳にしないが、市販車の自動運転化を後押しする取り組みとともに、警察が日常業務でどう先進技術を活用するかという視点も持っていたいところだ。

【参考】関連記事としては「自動運転と警察」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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