ニデックモビリティ絶好調!純利益3.7倍の95億円超 自動運転にも注力

旧・日本電産モビリティ、第13期決算の概要は?



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

ニデックモビリティ株式会社(本社:愛知県小牧市/代表取締役社長執行役員:和田克弘)の第13期決算公告(2023年3月時点)が、官報に掲載されている。

当期純利益は前期比265%増の95億4,700万円で、3期連続の黒字となった。倍率にすると、純利益が3.7倍に増えたことになる。過去4期の当期純損益は以下のように推移している。


<純損益の推移の推移>
第10期:▲157億200万円
第11期:18億2,800万円
第12期:26億900万円
第13期:95億4,700万円
※▲はマイナス

なおニデックモビリティの旧社名は日本電産モビリティで、2023年4月に社名変更している。

■決算概要(2022年4月1日〜2023年3月31日)
賃借対照表の要旨(単位:百万円)

▼資産の部
流動資産 28,116
固定資産 19,677
有形固定資産 6,221
無形固定資産 755
投資その他の資産 12,681
資産合計 47,792
▼負債及び純資産の部
流動負債 10,259
(製品保証引当金)(15)
(賞与引当金)(574)
固定負債 14,596
(退職給付引当金)(1,059)
(株式給付引当金)(46)
株主資本 22,938
資本金 5,000
資本剰余金 3,954
資本準備金 3,954
利益剰余金 13,984
その他利益剰余金 13,984
負債・純資産合計 47,792

損益計算書の要旨(単位:百万円)

売上高 29,689
売上原価 16,933
売上総利益 12,757
販売費及び一般管理費 12,814
営業利益 △57
営業外損益 10,191
経常利益 10,134
特別損益 177
税引前当期純利益 10,311
法人税、住民税及び事業税 710
法人税等調整額 55
当期純利益 9,547


■2019年にオムロン子会社を買収
出典:ニデックモビリティ公式サイト

ニデックモビリティはニデック(旧社名:日本電産)の子会社で、車載電装部品のマーケティングや開発、生産、販売を手掛けている企業だ。

元々は2010年にオムロンから分社し、オムロン オートモーティブエレクトロニクスとして設立された企業であったが、2019年に日本電産に買収された。その際に社名を日本電産モビリティに変更した。その後、2023年に日本電産がニデックに社名変更することに伴い、ニデックモビリティとなったという経緯がある。

同社の事業は、ボディ電装やEPS(Electric Power Steering System)、電源制御という分野がある。車載用電子制御技術を進化させ、モビリティ社会における社会課題の解決に貢献するために、カーエレクトロニクスに不可欠な車のボディ制御に使用される各種コントローラーやスイッチ、センサーを中心とした製品を提供している。

また、コネクテッド・自動運転・電動化に必要な製品の開発に力を入れていくとしている。


■親会社のニデックの自動運転技術開発

親会社のニデックは、小型から大型まで幅広いラインナップを誇るモータ事業や機器装置を中心に展開している企業だ。ADAS(先進運転支援システム)からより高度な自動運転への進化するカギとなるセンシングデバイスや、認識アルゴリズムの高度化などにも取り組んでいるという。

同グループでは、センサーやモーター、制御システムなどのアセットを活用した車両制御技術の高度化によって、自動運転の実現に向けた研究と開発をさらに加速するとしている。

過去には、2025年を「EVの分水嶺」と捉え、電動化に貢献する製品の開発・製造に注力することを発表している。これまで、エンジンに代わって駆動力を発生させるモータのほか、電動パワーステアリングシステムやセンシング用のカメラモジュールやミリ波レーダーユニットなど自動車の「走る・曲がる・止まる」に関わる製品を幅広く手掛けてきたが、次なるステップとして、これらのパーツを載せる自動車のプラットフォーム(車台)の開発に着手したという。

また2020年1月には「第3回自動運転EXPO」に出展、車載向けデータ収集測定システムを紹介した。これは、カメラや各種センサー、マイク、GPSなどからの各種データを、高精度で多チャンネル同期収集が可能なデータ収集・測定システムだ。最新のオリジナルソフトウェアである「Oxygen-SOFT」でEV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)も含む自動運転車両、車載モジュール、車載部品の研究開発、評価、解析作業の時短を実現するという。

■自動運転に必要な技術開発に期待

業績好調なニデックモビリティの、今後の取り組みと業績に引き続き注目だ。またニデックグループ全体の自動運転関連の取り組みも追っていきたい。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「日本電産モビリティ、26億円黒字決算!自動運転にも注力」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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