イーロン・マスク氏、自動運転ベンチャーを「青田買い」か

技術的な出遅れ状態をどう解消する?



テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain

Twitterの買収で世界を賑わせているイーロン・マスク氏。いまは誰もが知る米EV(電気自動車)大手テスラのCEO(最高経営責任者)だ。

そんなテスラとマスク氏は自社製造するEVの自動運転化を目指しているが、マスク氏が過去に何度も「年内に実現する」「来年末には可能だ」などと発言しているものの、なかなか自動運転化は実現できていない。


そうこうしているうちに、Google傘下の自動運転企業であるWaymo自動運転レベル4(高度運転自動化)のロボタクシーを実現させたし、日本のホンダレベル3(条件付き運転自動化)の乗用車を市販した。そろそろ、テスラの出遅れ感が鮮明になりつつある。

そんな中では、マスク氏は有力な自動運転ベンチャーを青田買いし、一気にテスラの技術力を高めようとしてもおかしくない。

■「垂直統合型」の企業ではあるが・・・

テスラやEV用電池からシートまで、完成車の製造に必要なパーツの多くを自社生産していることで知られている。いわゆる「垂直統合型」の企業だ。自動運転技術に関しても、社内での開発にこだわってきた感がある。

そのためこれはあくまで予想だが、そんなテスラがもし自動運転ベンチャーの買収に乗り出すのであれば、傘下企業という形で元の企業を存続させず、従業員のエンジニアを完全にテスラ内部に取り込む形となるのだろうか。


また、もしマスク氏が自動運転ベンチャーの買収に乗り出すとすれば、マスク氏の頭に浮かぶのはどのような企業だろうか。この分野で世界で有望視されているベンチャーを素直に挙げるとすれば、以下のような企業がある。

  • 日本:ティアフォー、ZMP、BOLDLY(※ソフトバンク傘下)
  • アメリカNuroAurora Innovation、May Mobility
  • 中国:AutoX、Pony.ai、MOMENTA、WeRide
  • 欧州:Navya、EasyMile、Einride
■マスク氏の行動は予測不可能だが・・・

この記事で書いたことは、全て臆測だ。マスク氏の行動はもはや常人には予測不可能とも言えるため、買収で技術力を強化するといった、いわゆる「一般的なアプローチ」はもしかするととらないのかもしれない。

それでも、マスク氏が将来、どのような動きを見せるのかは、ついつい予測したくなる。それほどマスク氏は多くの業界関係者、さらには業界関係者以外の一般の人をも惹き付ける魅力がある。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2022年最新版)」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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