自動車用照明製造大手の小糸製作所が、自動運転分野に照準を合わせているようだ。その一環として、LiDAR開発の有望企業とされる米Cepton Technologies(セプトン・テクノロジーズ)の株式を追加取得することを、2022年11月4日までに発表した。
■過去に1億ドル分、さらに1億ドル上限に
小糸製作所に関しては、2018年5月からセプトンとの共同研究を開始し、2023年のLiDAR実用化に向けた協業を進めてきた経緯がある。現在、検知距離や分解能、信頼性、コストなどに優れた中距離用LiDARをはじめ、短距離や長距離LiDARの開発も進めている。
これまで2020年2月に5,000万ドル、2022年2月に5,000万ドルと、総額で1億ドルをセプトンに出資してきた。そして、今回は合計1億ドル(約147億円)を上限に、セプトンの普通株式に転換可能な、議決権のない転換型無議決権優先株式(CPS)を引き受けることとなった。
現時点では、小糸製作所はセプトンの普通株式の約12%を保有している。今後も高性能なLiDARの実用化に向けて、さらなる関係強化を進めていくという。
ちなみに以下は、Ceptonのこの半年間の株価の推移だ。同社は米NASDAQに上場している。ティッカーシンボルは「CPTN」となっている。
■ヘッドランプ内蔵型の小型LiDARも開発
小糸製作所は自身でも自動運転やADAS向けの製品の取り組みを進めており、ヘッドランプやリアランプにLiDARを内蔵する技術を開発している。
2019年5月には、LiDAR開発の独Blickfeldと、小糸製作所のヘッドランプに小型LiDARを内蔵した、高性能なLiDAR統合型のヘッドランプユニットの共同検討開始を発表している。
2019年6月には、イスラエルのベンチャーでADAS向けの前方監視運転支援システムを開発するBrightWay Visionの2,400万ドル分の株式を取得して、持分法適用会社とした。悪天候でも高精度な撮影が可能なカメラシステムの研究開発を強化するのが目的だった。
2020年以降は自動運転の実証実験にも積極的に参加し、静岡県の「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」に参画するなどしている。中型自動運転バスによる実証実験にも携わっている。
■大きな売上・利益をもたらすビジネスに
自動運転やADASの領域に積極的に取り組む小糸製作所。今後の市場拡大が確実とされているマーケットだけに、小糸製作所に大きな売上・利益をもたらすビジネスとして確立させていけるか、今後にも要注目だ。
【参考】関連記事としては「小糸製作所、米Ceptonに追加出資!自動運転向けLiDAR、2023年量産化が目標」も参照。