官民一体で運転支援システムの開発・運用を手掛ける「ITS Connect推進協議会」は2021年5月4日までに、同協議会が推進している「ITS Connect路車間通信システム」について、スムーズな自動運転の実現に効果があることが確認されたことを発表した。
自動運転の実現に効果があることについて、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)が3月25日と26日に開催した「SIP第2期自動運転 中間成果発表会」で発表したという。ちなみにITSとは「高度道路交通システム」の略だ。
■「ジレンマゾーン」の回避が可能に
ITS Connect路車間通信システムは、道路に設置された路側インフラ設備との「V2I」(路車間通信)のほか、「V2V」(車車間通信)によって得られる情報を活用し、見通しが悪い交差点などでドライバーの運転を支援するものだ。
ではこのシステムがスムーズな自動運転の実現に効果があるとは、どういうことか。その一例として同協議会は、通信で「信号灯色情報」や「信号残時間情報」を得ることで、自動運転車から信号が見えない場合でも灯色認識が可能となることなどを挙げている。
また同協議会は、こうした情報を活用することで「ジレンマゾーン」の回避にもつながるとしている。
ジレンマゾーンとは、信号が黄色のときに運転手が「通過」か「停止」かの判断を迷う場面のことを指すが、信号がいつ変わるかといった情報を自動運転車が取得することで、自動運転車が「通過」か「停止」かを迷うことがなくなるようだ。
■オールジャパンでの取り組みに注目
ITS Connect推進協議会は、運転支援システムを通じて安心・安全な交通社会を実現することを目指し、2014年に設立された団体だ。参加企業には、住友電気工業、デンソー、トヨタ自動車、パナソニック、日立製作所など、自動車メーカーやITS関連企業が名を連ねる。
精度の高い自動運転を実現するには、車載カメラに加え、ITS技術の向上が必要だとされている。企業や業界の垣根を越えたオールジャパンでの取り組みに注目だ。
【参考】関連記事としては「【資料解説】官民ITS構想・ロードマップ2020案「モビリティ分野の将来像」のポイントは?(前半)」も参照。