東芝グループの東芝デバイス&ストレージ株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:佐藤裕之)は2020年8月20日までに、同社の画像認識プロセッサー「Visconti4」が、中国の大手自動車部品メーカーAPG社のADAS(先進運転支援システム)ソリューションに採用されたことを発表した。
報道発表によれば、Viscontiシリーズが海外メーカー向けに量産されるのは今回が初となるという。
■東芝デバイス&ストレージのViscontiとは?
Viscontiはカメラからの入力映像を画像処理し、走行している車線や車両、歩行者、標識などの対象物とその動きを検出して、検出結果を出力する画像認識プロセッサーのことだ。
画像認識処理に必要なアルゴリズムを高速に実行できる処理性能の高さが特徴で、ADAS機能や自動運転機能にも役立つ。
そのViscontiシリーズの最新版となるVisconti 4は、欧州の新車安全性能評価「Euro NCAP(New Car Assessment Programme)」で求められる昼夜での歩行者衝突回避などに対応している。
輝度情報を用いた独自の高性能画像特徴量CoHOG(Co-occurrence Histograms of Oriented Gradients)と、独自の認識アルゴリズム「Enhanced CoHOGアクセラレーター」を搭載しており、ADASでの夜間歩行者認識が従来機種での昼間歩行者認識と同等レベルまで向上したという。
■3次元再構成技術で、予期せぬ障害物の検知も可能
Visconti 4では3次元再構成技術によって、落下物・落石・土砂崩れなどの予期せぬ障害物の検知も可能なことも特徴となっている。
3次元再構成とは、2次元の画像の集合から元の3次元像を再構成する手法のことで、柔軟なパターン認識に加え、より高速に処理することが可能となる。
■【まとめ】ADAS搭載車の比率が高まっている中国
中国の自動車市場では、自動車安全テストにおける自動緊急ブレーキ評価の追加などを背景に、ADAS搭載車の比率が高まっている。
APGは中国国内で急成長中の自動車部品メーカーとして知られ、APGがViscontiシリーズを採用したことで、東芝デバイス&ストレージの中国における存在感は今後より高まっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「東芝デバイス&ストレージ、自動運転システム向けLiDARで新技術開発」も参照。