航空交通管理における「無人交通管理」(UTM)の世界市場に関する予測データを、米市場調査企業のKenneth Research社が2020年7月27日までに発表した。
空飛ぶクルマやドローンなどを含む無人航空機(UAV)の開発が加速するにつれ、無人交通管理の市場も拡大することが見込まれるとし、2020年から2028年にかけてのCAGR(年平均成長率)は約20%となることが予測されるという。
Kenneth Research社は2018年時点のUTM市場の評価額については、4億5000万ドル(約475億円)に上るとしており、現在は世界22か国以上がUTMのサービスプロバイダーと提携し、各国でUTMシステムを構築しているという。
■物流や輸送における採用増加でUTM市場が拡大
空飛ぶクルマやドローンを含む無人航空機に関しては、実用化に向けて航空機製造企業や自動車メーカー、ベンチャー企業などが盛んに技術開発に取り組んでいる。
ただ、開発した無人航空機が安全に飛行するためには、無人交通管理のシステムは必要不可欠だ。中でも、事故を未然に防ぐための管制システムや監視システムの重要度は高い。
無人航空機は将来的に、EC(電子商取引)市場の拡大による配送需要増加を下支えすると言われており、小売業界や運送業界からの期待感も高い。同社は報道発表でUTM市場の成長について「物流と輸送におけるドローンの採用の増加に起因しています」としている。
報道発表では触れられていないが、空飛ぶクルマを使った「空飛ぶタクシー」も将来的に実用化されることが予想され、UTMの市場規模のさらなる拡大につながりそうだ。
■下支え系市場も並行して拡大する
空飛ぶクルマやドローンを含む無人航空機の市場規模自体も今後の拡大が見込まれているが、こうした新たな移動手段・輸送手段を下支えする市場も並行して拡大していくことも、改めて認識しておきたいところだ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは? 仕組みや技術、必要なインフラなど|自動運転ラボ」も参照。