自動運転車向けのダイナミックマップを手掛けるオランダのHERE Technologiesは2020年1月31日までに、ドライバーの安全性向上に向けた3D道路モデル「HERE Lanes」を発表した。交通規則や走行方向、交差点の勾配や曲率などの正確なデータをADAS(先進運転支援システム)やモバイルアプリに供給するというものだ。
HEREは、位置情報データや位置情報技術のプラットフォームを提供している。1985年からマッピングのデジタル事業を開始し、最近では自動運転車両に必要不可欠なダイナミックマップの作製などを手掛けている。
HERE Lanesでは、世界の道路ネットワークをデジタルで表現することで、自車位置の特定やドライバーの視覚的ガイダンスに役立つものだ。過去の実証実験では車両センサーの連携により、ADAS機能の性能と安全性が高まることが確認された。
HEREの自動運転部門責任者であるSheila Nedelcu氏は「HERE Lanesは、自動車メーカーやソフトウェア開発者があらゆる天候条件下における現行のADAS機能を改善し、レーンレベルでのポジショニング、ガイダンス、視覚化機能を駆使した次世代のアプリケーションを開発するのに必要なデータを提供します」とコメントしている。
■「自動運転×地図データ」、有力企業は?
自動運転技術の実現を支える地図データに関わる事業は、国内外で競争が激化している。
オランダの地図大手トムトムは2015年に自動運転向けの高精度マップ「TomTom HD Map」の発売をはじめ、2019年11月には高精度マップにAI(人工知能)を活用する研究に力を入れるため、アムステルダム大学と新たな研究所を開設している。2020年1月には、車両センサー開発を手掛ける日立オートモティブシステムズアメリカズとの協業を発表した。
中国では、百度(バイドゥ)が強い存在感を示している。同社には自動車メーカーなどの提携企業が収集したデータが集まるため、地図データを構築しやすい立場にある。2017年7月には先ほど紹介したトムトムとの提携を発表している。
日本では高精度3次元地図データの整備を目的に、国内自動車メーカー10社や地図情報を扱う企業が出資し、2016年にダイナミックマップ基盤(DMP)社が設立された。2019年3月には自動車専用道路すべてのデータ整備を完了したことを発表している。
同社は2020年4月からの事業化を目指している。2019年2月には北米で高精度3次元道路地図の開発・提供を行っているUshr(アッシャー)を買収するなど、海外展開にも意欲的な姿勢にみえる。
【参考】関連記事としては「【最新版】ダイナミックマップとは? 自動運転とどう関係? 意味や機能は?」も参照。