大成建設株式会社(本社:東京都新宿区/社長:村田誉之)が株式会社諸岡(本社:茨城県龍ヶ崎市/代表取締役CEO:諸岡正美)と共同で自動運転クローラダンプ「T-iROBO Crawler Carrier」を開発し、安全性の確保と運搬作業の自動化に関する検証を経て実用化に目途がついたことが、2019年11月30日までの報道発表で明らかになった。
今回開発したT-iROBO Crawler Carrierは、土砂を指定ルートで運搬して指定の場所で排土したのち、再度積み込み場所を戻る一連の運搬作業を全自動で行う機能を搭載している。この機能について実際の造成現場で検証を行い、その動作状況を確認したという。
具体的な機能としては、出発点や到着点の「座標入力」や一度有人走行させたルートを記憶させる「ティーチング」によって走行ルートを指定した上で、AI(人工知能)を活用した画像処理技術によって走行路内で認識した人体や障害物を検知し、自動運転を可能にするというものだ。また第5世代通信システム(5G)に対応し、運搬作業や安全性に関わる様々な情報を5G通信システムにより送受信することも可能だという。
大成建設と諸岡は今後も実現場での検証を継続し、高度な自動化と他の建設機械との自動連携も視野に入れて技術開発を進め、さらなる自動化技術の確率を目指していくという。
■業界内で加速する開発競争
建設産業において、人手不足の解消や生産性の向上は大きな課題となっている。こうした課題にに取り組むために早期に望まれているのが建機の自動運転化だ。
大成建設は2013年から無人作業を行う建機機械「T-iROBO」の開発に取り組んでおり、大成建設以外でもコマツやボルボなどが自動運転ダンプの実用化などに力を入れている。例えば小松製作所は2008年に既に無人ダンプトラックを発表し、すでに実用化を果たしている。
スウェーデンのボルボトラックスは2018年11月、ノルウェーの鉱業企業に商用自動運転トラック「Volvo FH」を提供することを発表している。作業を行う鉱山と近くの港を結ぶ5キロの距離を走り、運ぶ岩の重さに応じて料金を請求する形での提供だという。
■【まとめ】建設産業の課題の克服となるか
開発競争が進む自動運転ダンプは、建設産業での人出不足解消と生産性の向上に大きく寄与すると考えられる。今後も自動運転ダンプの進化に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「大成建設とソフトバンク、5G活用下で建機の自動運転などの実証実験」も参照。