【インタビュー】コンビニ実証を成功させたZMPの宅配ロボ「CarriRo Deli」、今後の開発計画は? 自動運転技術も搭載

谷口社長と今西取締役に聞く





ZMPの谷口恒社長=提供:ZMP

自動運転ベンチャーの株式会社ZMP(本社:東京都文京区/代表取締役社長:谷口恒)は2019年1月、宅配ロボット「CarriRo Deli」を活用したコンビニ無人配送のサービス実証を、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス内で実施した。

この実証実験はローソンとともに取り組んだもので、CarriRo Deliによってコンビニ商品が学生らに届けられた。同社は今回の実証実験について「実際に商品の売買が発生する無人配送実証実験は世界初の試み」としている。







CarriRo Deliは、カメラやレーザセンサを使って周囲360度認識しながら最大時速6キロで自動走行できる性能を有しており、積載量は最大50キロで人が一般的に重いと感じる荷物でも配送可能だ。自動運転ラボも以前、記事「【ZMP特集#4】話す宅配ロボ CarriRo DeliveryとTiCA デモは卒業、商業化へ—AI自動運転最前線・イノベーション・自動車革命」で詳細を伝えた。

自動運転ラボは今回の実証実験で活用した「CarriRo Deli」などについてZMPに質問取材をし、谷口社長と今西暢子取締役から回答を得た。その内容を下記に紹介する。

■高精度地図やセンシング技術を駆使して自動走行
Q 「CarriRo Deli」が自動運転で無人配送を行う技術的なメカニズムを教えて下さい。

配送エリアの高精度地図作成し、ステレオカメラ、LiDAR(ライダー)、IMU(慣性計測装置)などを用いたセンサフュージョンによる自己位置推定により自己位置を推定しながら、目的地への配送のために設定した経路を正確に自律走行します。その間、車、自転車、歩行者などの障害物を検知して安全性を確保しながら自律的に移動します。また、前後左右に搭載したカメラで宅配ロボットの周囲を遠隔地からリアルタイムにモニタリングし、緊急時等には遠隔操作も可能です。

配送サービスは、この遠隔監視システムと、ロボット受発注管理アプリ、また予約管理やロボットの配置管理システムである「ROBO-HI」を用いています。

CarriRo Deli=提供:ZMP社
Q CarriRo Deliの実用化に向けて一層力を入れて技術開発を進める点や、実証実験の計画がありましたら教えて下さい。

周囲の人とのコミュニケーションをより円滑にしてゆくことです。次は春以降に海外での実証実験を計画しています。

Q CarriRo Deliの導入先について教えて下さい。

まずは私有地内での配送ニーズに応えていきたいと考えています。

■ハードとソフトの両分野で技術開発、「総合力」で差別化
Q 無人宅配ロボを開発する企業が増えていますが、他社との差別化要素はどういった点を考えていらっしゃいますでしょうか。

ハードウェアとソフトウェア両分野において技術開発を進め、蓄積・発展させてきたロボット技術の総合力が差別化につながると考えています。

  • 人間とのコミュニケーション機能の実現
  • 自動車の自動運転技術開発で培った様々な自律移動技術により、複雑な実世界環境で配送サービスを実現できる自律走行が可能
  • 信頼性の高いハードウェアとソフトウェア

加えて、開発した技術をビジネスにつなげる企画力とその実現スピードも大きな差別化要素であると考えます。

■東京五輪の2020年、公道でのサービス開始を目指す
発表会見に臨む谷口社長=提供:ZMP
Q 谷口社長の実用化にかける意気込みを聞かせて頂けますでしょうか。

全国で700万人超といわれる買物困難者は、日常の買物に苦労しており、簡便で手ごろなコストで買物を代行してくれる手段を求めています。また、物流業界は少子高齢化の影響を受け、人手不足の問題が深刻化しています。そのような背景で大手宅配業者はこぞって配送料を値上げするなどユーザの利便性が低下する事態となりつつあり、物流クライシスともいわれる大きな社会問題となっています。

これらの課題に対し、CarriRo Deliを一刻も早く実用化することでソリューションを提供し、人々の生活の質の向上に貢献したいと考えています。加えて、2020年、オリンピック・パラリンピックに訪れる海外からのお客様にクールジャパン、ロボットジャパンの驚きを与えたい。限定地区で構わないので、公道を走行してサービスを開始したいと強く願っています!

自動走行するCarriRo Deli=提供:ZMP社
■【取材を終えて】ソフトとハードを両方開発しているからこそ

ZMPは自動運転技術をさまざまなサイズ感で形にしている。小型サイズとしては今回のCarriRo Deli、そして大型サイズとしては自動運転車両プラットフォーム「Robo Car」だ。質問の回答でも今西取締役が述べていたが、ソフトとハードを両方開発しているからこそ、こうした複数のサイズ感での製品化にこぎ着けやすいと言えるのでないだろうか。

ラストワンマイル向けの物流ロボットは、世界的なEC需要の拡大や日本における人手不足などもあり、今後ますます需要が伸びていく。そんな需要に応えていくのがCarriRo Deliだ。「デモから商業化」「R&Dから量産化」を掲げるZMPの自動運転ロボットを街中で見掛けるようになる日は近そうだ。







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