ウーバー、自転車シフトで自動車ライドシェアに見切り? ダラ・コスロシャヒCEOが方針

自転車シェア会社へ相次ぐ出資



ウーバーテクノロジーズのダラ・コスロシャヒCEO=出典:Ecole polytechnique/Flickr (CC BY-SA 2.0)

ライドシェア大手ウーバーテクノロジーズのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)が、電動キックボードや自転車のシェアリング事業に経営の軸をシフトしていく考えを、2018年9月5日までに明らかにした。配車サービスの代表格である同社の方針転換が他の事業者に影響を与える可能性も高く、今後の動向に注目が集まりそうだ。

英経済紙フィナンシャル・タイムズのインタビューに答える中で考えを明らかにした。コスロシャヒCEOは、都市内の移動においては自転車やキックボードの方が適しており、将来的に利用者は今までより短い距離の移動サービスを使うことが予測されていると語り、「人1人を運ぶのに自動車を用いるのは非効率」との見解を示した。


その上で「短期的な財政面では利益にならないかもしれないが、長期戦略的にはこの方針転換こそが我々の進みたい方向だと考えている」と述べ、事業の多角化を図りながら徐々に自転車シェアリング事業へ軸をシフトしていく意向を見せた。

■米サイクルシェアのスタートアップJumpを買収

同社は2018年4月にシェア自転車事業を手掛ける米スタートアップ企業Jump社を2億ドル(約220億円)規模で買収しており、電動キックボードのシェアリング事業を行う米Lime Bike社との提携も発表されている。

【参考】Uberのシェア自転車事業参入については「米ライドシェア大手のUberとLyft、シェア自転車企業買収で事業多角化|自動運転ラボ」も参照。

また、2017年にも複数の自転車会社に出資したことが明らかにされているほか、米情報サービスのブルームバーグによると、電動スクーターを自社開発しているという情報も報じられており、すでに自転車やキックボードなどの新たなシェアリング事業に注力している姿がうかがえる。


一方で、トヨタ自動車が2018年8月28日、同社へ5億ドル(約550億円)を出資し、自動運転技術を活用したライドシェアサービスの開発促進に向け協業を拡大すると発表している。ライドシェア事業をめぐっては、現状は交通渋滞や労働者の待遇に関する問題などを背景にニューヨークやロンドンのように規制する動きもある。

しかし、無人による完全自動運転の時代が到来すれば状況が一変する可能性は高く、中長距離の移動需要もあることから、主力事業が自転車に代わっても従来のライドシェア事業からの撤退はなさそうだ。


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