【各社戦略まとめ】自動運転農業機械に秘めた可能性 スマート農業市場、2025年に120億円市場

2018年に続々商品化、開発競争ヒートアップ



ロボット技術やICTなどの先端技術を活用したスマート農業。自動運転技術や位置情報システムの高度化とともに市場規模の拡大が予想されており、富士経済の調査によると、自動運転農機や生産・販売システムなどを含むスマート農業関連市場は、2025年には2017年比2.7倍の123億円に成長すると予測されている。


高精度測位サービスを提供する準天頂衛星システム「みちびき」の運用も2018年11月に控えているほか、高齢化や後継者問題による労働力不足の解消にも期待が寄せられることから社会的需要も高く、研究開発は今後ますます盛んになるものと思われる。

2018年中には農機具メーカー各社が自動運転農機の商品化を予定している。そこで、今回はメーカートップ3の自動運転農機にスポットを絞り、その取り組みについてまとめてみた。

■クボタ:業界初アグリロボコンバイン発売へ

2016年にGPS農機第1弾として田植え作業に直進時のみ自動操舵走行が可能な「直進キープ機能付田植機」、第2弾として直進だけでなく曲線経路も自動操舵走行が可能な「畑作用大型トラクタ」を発売し、2017年には有人監視下での無人による自動運転作業を可能とした自動運転農機「アグリロボトラクタ」を発表した。

2018年12月には、業界で初めてコンバインに自動運転アシスト機能を付加し、オペレータ搭乗のもと自動運転による稲・麦の収穫作業を可能にした「アグリロボコンバイン」を本格販売する予定。


■ヤンマー:既存トラクターもアップグレード可能な無人運転トラクター発売

無人運転が可能な「ロボットトラクター」と最小限の操作が必要な「オートトラクター」を2018年10月から順次発売する。タブレット端末を使用した操作や、2台のトラクターでの協調作業時における随伴・併走する無人トラクターの操作などが可能で、ロボットトラクターには、レーザーや超音波で物体との距離を計測するセンサーやセーフティブレーキも備えている。

既存のYTトラクターも、工場での改装によりオート仕様、ロボット仕様にアップグレードすることが可能となっている。

■井関農機:GNSS活用ロボットトラクターを2018年度中に商品化

GPSを受信し田植え時の運転をレバー一本でサポートする直進アシストシステムを搭載した田植え機を開発したほか、超音波センサーと電極センサーで土壌測定を行い施肥量を自動コントロール可能な田植え機の実証実験も進めている。


2018年度中には、GNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム)を活用したロボットトラクターを商品化する予定。有人監視下での無人自動運転作業が可能で、GNSSアンテナで現在位置を検出し、ジャイロセンサーで農機の傾きによる測位誤差補正を行うなど、高精度な自動運転作業を実現できるという。

■畑や水田という「限定領域」における自動運転の可能性

自動運転技術の本格的な活用は農業界から始まるという見方もある。畑や水田という「限定領域」での稼働という側面からも、自動運転技術を導入しやすい。「自動運転」と「農業」のマッシュアップで生まれる可能性に、今後も注目していきたい。

【参考】建機業界でも自動運転に対する注目度は高い。関連ニュースとしては「自動で動く機械たちに韓国大手が注目 建機の自律運転技術手掛けるPoteNitに投資|自動運転ラボ 」も参照。


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