韓国で重工業を中心に展開している斗山グループ傘下の建設機械メーカー「斗山インフラコア」社はこのほど、機械の自律運転システムの開発を手掛ける同国のスタートアップ企業PoteNit社に出資したと発表した。具合的な投資額は明らかになっていない。Korea JoongAng Dailyが4月13日付で報じた。
斗山インフラコア社は、建機を自動で動かすための技術の開発にこれまで取り組んできた経緯があり、事業分野を自律運転ソリューションの提供に広げようとしており、自律運転の技術開発を手掛けるPoteNitと事業をともにすることにより、展開を加速させてたい考え。
両社は今後、建機が自律的に動くための技術開発をともに進める。また斗山インフラコアの国外販路を活かし、PoteNit社自身の海外展開も予想される。
いわゆる人を運ぶ「自動運転」と機械の「自律運転」では、技術領域が重なる部分も多い。今後両社が開発していく技術は韓国国内を含む自動運転業界にも影響を与えていきそうだ。
■建機各社が自律運転技術導入を加速
PoteNit社はどんな企業か。
【参考】PoteNit社は韓国企業だが、公式ホームページには「英語版」もある。ホームページ内では実際に機械が自律運転する動画なども紹介されており、自動運転関連の技術者にとっても注目のコンテンツが盛り沢山だ。
PoteNit社は現在、人工知能(AI)ロボットとセンサーの開発を手掛けており、2014年には自動で水道管の漏れのある部分を追跡する水道管補修ロボットを開発した。このロボットは小型車両に搭載されて使用されている。また同社は建設、農業、製造など幅広い企業から注文を受けている。斗山インフラコアは2015年からPoteNitと事業で連携しており、同社技術について「韓国で最も進んだ自律運転技術」と評価する。
韓国ではすでに、建機各社が自律運転技術を備えた建機の利用を広げている。韓国の「ボルボ建設機械」と「現代建設機械」も自律運転技術を整備した建機を既に導入している。
ボルボ建設機械は2016年、ダンプトラックやホイールローダー、輸送車両などすべての機械が無人で自律運転する建設現場を公開している。現代建設機械は2018年上半期(1~6月)中に、建設現場の地形を自動測定するガイダンスシステムを搭載した掘削機の大量生産を開始する計画だ。
各社が無人建機の活用を進めるのは、24時間体制で工事を進める体制を整備するとともに、作業員の死傷事故を減らす目的があるからだ。また韓国では建設現場での就労を希望する若者が減っており、建機を扱える熟練労働者が高齢化している。