パイオニア、自動運転の目「LiDAR」で巻き返しへ 再建に向け各社と提携協議

成長市場の高精度地図開発も



経営再建を目指すパイオニア株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役:森谷浩一)は2018年8月9日、経営支援要請に関する一部報道を受けて報道発表し、カルソニックカンセイ株式会社を含め複数の企業と提携について協議を進めていることを明らかにした。


8月6日に発表された同社の2018年度第1四半期(4〜6月)決算は、営業利益がマイナス15億7500万円の大幅な赤字を計上した。当初、取引銀行に経営改善計画を示し借入金の借り換えを行う予定だったが、抜本的な見直し施策の具体化が遅れていることから合意を得られず、「継続企業の前提に重要な疑義が存在している」と注記するほど危機感をあらわにしていた。

このため、主要事業であるカーエレクトロニクス事業においては、業績悪化の主因となっているOEM事業で事業提携や取引先との取引条件の見直し、コスト削減など抜本的施策の早期具体化を図ることとし、市販事業においては、パイオニアならではのコネクテッドカーライフを推進することとしている。

LiDAR市場、2030年には5000億円規模に

地図事業・自動運転関連では、自動運転に必須となる走行空間センサー「3D-LiDAR(ライダー)」の製品化に向け、サンプル出荷を通じた評価や検証を進めるほか、オランダの位置情報サービス大手の「HERE Technologies(ヒア・テクノロジーズ)」との連携強化や高精度地図の開発などを進めていくこととしている。

成長を続けるLiDAR市場ではどの会社も甘い罠に陥る可能性がある。


LiDAR市場は2030年には市場規模が5000億円規模になると言われているが、決して各社が市場シェアを均等に分け合う展開になるとは言えない。先端技術だけに、優れた技術を搭載した低価格なLiDARを発売した企業が現れたら、自動運転の黎明期にはLiDAR市場が1社寡占のような状態になる可能性がある。

しかし、パイオニアがこれまで培ってきた技術力は決して世界の大手企業に負けないものだ。コネクテッド化や3Dライダーの開発・製品化など、成長が見込める自動運転市場において主力製品になり得る新製品で起死回生の巻き返るパイオニア。その再建には十分な期待が持てる。


関連記事