世界最大級の自動運転開発連合のアポロ計画が大きな動きを見せた。中国インターネット大手の百度(バイドゥ)が、バス車両メーカー「金龍客車」と自動運転バスの量産化を2018年7月にも開始することを明らかにした。人民日報が報じている。
アポロ計画は2017年7月にスタートした。バイドゥ社が「アポロ」と名付けたAI(人工知能)を使い、自動運転車をコントロールするソフトウェアの技術情報を参加企業に公開し、それぞれの企業が担当分野で開発を進める枠組みだ。
ハードウェアやソフトウェア、プラットフォーム、クラウド・データサービスの分野で、自動車会社、部品会社、IT関連などの参加企業をバイドゥ社がサポートする。パートナー企業に、路線計画や車両制御、環境検知、車載システムなどのソースと性能を公開し、開発テストツールも提供する。
2018年6月時点で、自動車メーカーの米フォードや独ダイムラー、中国の第一汽車、北京汽車、部品メーカーの米デルファイ、独コンチネンタル、ボッシュ、IT関連の米エヌビディア、インテル、マイクロソフト、日本勢からはホンダやパイオニアなど、約100社がパートナーとして参加する巨大開発連合となっている。
■7月に100台レベルの量産体制
今回量産するのは、バイドゥ社が開発した自動運転システムを搭載した初のハンドル・アクセル・ブレーキがない自動運転バス。7月に100台レベルの量産体制に入り、市場投入後テスト走行を始めるという。主に観光地や空港などの半閉鎖・完全閉鎖エリアで導入し、走行速度は時速20~40キロメートルに制限する。技術や法規、インフラ、コストなどさまざまな問題を解決しながら、路線バスや観光バス、市バスなど一般道路まで応用範囲を拡大する計画となっている。
今回の量産は小規模だが、バイドゥ社は2019年に自動運転レベル3(条件付運転自動化)、2021年にはレベル4(高度運転自動化)の自動運転車の量産を順次スタートする予定という。
【参考】自動運転レベル3は緊急時以外はシステム側が全ての運転操作を担い、自動運転レベル4では高速道路などの制限区域内において、システム側が全て運転を担う。5段階の自動運転レベルの定義については「自動運転レベル0〜5まで、6段階の技術到達度をまとめて解説|自動運転ラボ 」を参照。
また、バイドゥ社は同国のカーシェアリング企業PandAutoとプロジェクト「自動運転モデルパーク」をスタートしたと発表した。自動運転車を活用した自動車シェアサービスで、オープンパークのエリア内において、ユーザーがアプリを使って自動車の利用を申請すると、自動車が駐車場を自動で出発し、ユーザーの元までたどり着くという。
信号を守り、歩行者に道を譲りながら正確に自律走行する動作は、前方のフロントガラスとナンバープレート、車の左右両側、後ろのナンバープレート、車内に搭載された計6つのカメラと12個の超音波レーダーによって実現しているという。