地図情報大手の株式会社ゼンリン(本社:福岡県北九州市/代表取締役社長:髙山善司)は2020年2月18日、長崎市にAI(人工知能)を活用した地図データの作成に関する研究開発などを行う新規事業開発拠点「長崎R&Dブランチ」を開設すると発表した。
ゼンリンは2019年3月、長崎県産業振興財団からIT関連事業施設の同県進出の要請を受け、立地や人材、官学との連携状況などを考査し、今回の開設に至った。同拠点の事業目的は「AIを活用した地図データの作成に関する研究開発」と「新規事業創出」だ。
将来的にMaaSや自動運転が普及する世の中において、地図データベースはリアルタイム性が求められる。そこでAI技術やビックデータの解析・分析技術を活用し、地図データの更新の自動化や省人化を目指した研究を行う。
また、長崎県が推進するIoT関連産業の育成・集積に関する取り組みを最大限に活用し、長崎県内の教育機関や企業と連携を取りながら新規事業の創出にも取り組む。
なお、長崎R&Dブランチは2020年4月1日に開設予定となっている。
■ゼンリンの自動運転・MaaS関連のほかの取り組みは?
ゼンリンの動きをみていくと、同社が自動運転やMaaS関連の領域に力を注いでいることがわかる。
2019年5月には、日産のインテリジェント高速道路ルート走行機能「プロパイロット2.0」に、同社の3D高精度地図データが採用されたことが発表された。3D高精度地図データを活用することで、高速道路の詳細な道路形状などを事前に把握できるという。
2019年10月にはシンガポールで開催された「ITS世界会議2019」に出展し、MaaS向けの地図データベース「Mobility based Network」 を初めて対外的に公表した。鉄道や道路、歩行者ネットワークなどのモビリティ関連の情報が一元的に共有できるものだ。
他にも自動運転向けに3D高精度地図データベース「ZGM-AUTO」 に関する展示も行っている。ZGM-AUTOは2013年に初公開され、視覚的な表現を強化したデータベースだ。
自動運転時代には地図データの重要性が増す。ニーズの拡大に合わせてゼンリンが存在感を高めていけるか、今後も注目していきたい。
【参考】関連記事としては「MaaSも自動運転向けも!ゼンリンの次世代地図データベース、シンガポールで展示」も参照。