一般社団法人ヤマトグループ総合研究所(本社:東京都港区/代表:木川眞)=ヤマト総研=は2020年6月18日までに、募集していた「第1回懸賞論文」の受賞作品全12作を決定したと発表した。
受賞作の中には自動運転の未来を感じさせる論文もあり、「100周年記念アイデア部門」の最優秀賞には山本 魁氏の「自動運転技術を利用した駐車場における物流システムの提案 e-conect」が選出されている。
■今回の第1回懸賞論文とは?
ヤマト総研はヤマト運輸などを擁する「ヤマトグループ」が2019年、創業100周年を迎えるにあたって「物流の、社会の可能性を拓く」という理念のもとに設立した総合研究所である。
今回の懸賞論文は2019年10月1日から2020年1月31日の間に「第1回学術論文部門」「100周年記念アイデア部門」という2部門で公募された。
気候変動、労働力不足、そして新型コロナウイルス拡大などを受け、物流の果たす役割は大きくなっている。その中で、学術論文部門が48件、アイデア部門が427件という多数の応募があり、物流によって社会課題を解決したり、持続可能な開発につながったりする新しいアイデアが寄せられた。
■自動運転時代を拓く!山本氏の論文内容とは
自動運転ラボが注目したいのが、「100周年記念アイデア部門」の最優秀賞に選ばれた山本魁氏の『自動運転技術を利用した駐車場における物流システムの提案 e-conect』だ。
▼山本魁|自動運転技術を利用した駐車場における物流システムの提案 e-conect
https://www.yamato-soken.or.jp/awards/results2019/
e-conectについては「IoTとスマートフォンによる物流の最適化を図った近未来の配達システム」と述べられており、歩道を自動走行する小型自動車を使い、物流センターから配送先の駐車場まで荷物を配送するというシステムだと説明されている。
利用者は配送先の駐車場に行き、スマートフォンでロックを解除して荷物を受け取ることができるという。駐車場を使えば、小型自動車を公道の路肩に停めておくことによる交通の妨げなども課題にならない。
近年では通販の取引量が増え、配送業者の人手不足が問題になっている。また、受け取りに際しても不在のことが多いため、都合の良い時間に都合の良い場所に取りに行ける、といった仕組みは利用者の利便性を高めるとともに配送業者のコストを下げることにもつながりそうだ。
山本氏は受賞を受け、以下のコメントを述べている。
自分のアイデアがこのような形で評価いただいたことは大変嬉しく、大きな自信になりました。 今回提案したアイデアが近い将来に、物流業界が抱える再配達やドライバーの人手不足といった課題を解決するための突破口になることを願っています。
■ヤマトグループの刺激にもなりそうな論文
ヤマトグループのヤマト運輸では、2017年から2018年にかけて「ロボネコヤマト」と称して自動運転社会を見据えた次世代の配送実証実験を行うなど、自動運転技術を活かした物流サービスの構築に、いち早く取り組んでいる。
そんなヤマトグループにとっては今回の山本氏の論文は、特に関心が高いものだっただろう。
【参考】関連記事としては「ロボネコヤマトが神奈川県藤沢市内を走る 自動運転車両を使った配送実験」も参照。
ロボネコヤマトが神奈川県藤沢市内を走る 自動運転車両を使った配送実験 https://t.co/Nv1ShirJxK @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 5, 2018