トヨタ決算発表、章男社長「意味深」発言も?来年の五輪に向け、自動運転への投資は?

5月12日のライブ中継で何を語る?



2019年3月期の決算発表を行う豊田章男社長=出典:トヨタ自動車公式動画

トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市/代表取締役社長:豊田章男)は2020年5月12日(火)午後1時15分より、インターネットでのライブ中継で2020年3月期の決算説明会を公開する。

決算説明会は2部構成となっており、Ⅰ部では執行役員の近健太氏と白柳正義氏による決算報告、Ⅱ部では豊田章男社長がスピーチをする予定だ。


豊田社長は3カ月ごとの決算発表に毎回出席するわけではないものの、今回は通期決算ということもあり、既に出席が発表されている。新型コロナウイルスの感染拡大で先行きが不透明な状態が続く中、「世界のトヨタ」を率いる章男社長のメッセージに注目が集まることは必至だ。

当日、章男社長は何を語るのか?自動運転ラボの視点で予想してみた。

▼YouTube Liveでの決算説明会視聴は以下のURLから
https://youtu.be/OFN5ASSZn4w


■新型コロナウイルスとトヨタ

トヨタ自動車も今回の新型コロナウイルスでは多大な影響を受けている。世界的な新車需要の減少にともない、国内工場では4月から5月にかけて大幅な生産調整が行われている。ロックダウンとなっている欧米では、5月上旬までほぼすべての工場が操業を停止している状態だ。

また、国際オリンピック委員会(IOC)の最高位スポンサーであるトヨタにとって、東京オリンピック・パラリンピックの延期は今年の「見せ場」を失ったこととほぼ同義だ。五輪会場などではトヨタの自動運転EV「e-Palette」が選手の送迎などで活躍するはずだった。

このような新型コロナウイルスによる影響によって、トヨタの業績にはどのようなダメージがあるのか。こうした点は株式投資家にとってもちろん大きな関心事で、豊田社長の説明に注目が集まる。

また一方、トヨタ自動車は新型コロナウイルス対策としての様々な活動を始めている。2020年4月7日には医療現場および医療用品への支援を打ち出し、医療用フェイスシールドの生産を本格化させたほか、医療機器メーカーの生産性向上支援や感染者移送用の車両提供にも取り組んでいる。


コロナ対策支援という点についても、豊田社長から力強いメッセージがありそうだ。

■アフターコロナと自動運転

豊田社長は2020年1月に米ラスベガスで開催された技術見本市「CES 2020」において、あらゆるモノやサービスがつながる実証都市「Woven City」を静岡県裾野市で建設すると発表し、自動運転やMaaSの分野に本気で取り組む姿勢を改めて鮮明にした。これらの動きについては、新型コロナウイルスの影響で何か変化があるのだろうか。

具体的にどんな変化があるかはいまのところは予想がつかないが、無人配送の有用性がコロナ禍で広く認識されたことを考慮すれば、アフターコロナ時代を見据えて自動運転技術の開発に一層力を入れる方針を打ち出すことは十分に考えられる。

■【まとめ】来年のオリ・パラに向けた意味深な発言も?

新型コロナウイルスの影響で新車需要は減少し、東京オリ・パラは延期になった。こうしたことはトヨタにとっては短期的にはネガティブな要素であるものの、人や物の移動はいつの時代も必ず必要になるもので、新技術への投資の強気の姿勢をトヨタは崩さないものと考えられる。

東京オリ・パラまでプラス1年の猶予が生まれ、さらにバージョンアップされたモビリティを披露する計画を早くも検討していることも考えられる。5月12日の決算説明会ではそうした計画を推察させる意味深な言葉も豊田社長のスピーチから飛び出すかもしれない!?

【参考】関連記事としては「【保存版】トヨタ×自動運転の全てが分かる4万字解説」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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