スバルのコネクテッド機能まとめ 「SUBARU STARLINK」とは?

将来的にはトヨタとの協業が本命?



出典:SUBARUプレスリリース

四輪駆動車と水平対向エンジンなどの独自技術で熱狂的なファンを持つ株式会社SUBARU。近年は、運転支援システム「EyeSight(アイサイト)」の開発によってADAS(先進運転支援システム)分野を先行してきた。

独自のクルマづくりを進めるスバルだが、コネクテッドカーの分野ではなかなか話題に上がってこない。そこで今回は、同社のコネクテッドサービスについてまとめてみた。


■スバルのコネクテッド機能

スバルのコネクテッドサービスは、メーカー装着オプションで設定した車載ナビゲーションシステムに、「SUBARU STARLINK」アプリをインストールしたスマートフォンを連携させて使用する。現時点では基本的に北米仕様のようだが、今後日本国内でも本格的にサービス展開される見込みだ。

STARLINK Safety and Security

最新のSafety and Securityサービスにおける自動衝突通知機能は、万が一の事故など衝撃を感知した際、カスタマーケアアドバイザーに自動通知され、車載スピーカーを通して状況の把握や適切な対応などをフォローしてくれる。路上支援機能では、何らかのトラブルで援助が必要な場合、コンソールのボタンを押すことでカスタマーセンターとつながり、車両のGPS位置が自動で送信される。

自動車健康レポート機能では、「MySubaru」アカウントのレポートへのリンクを含む電子メールを毎月送信し、車両の総合診断レポートを見ることができる。車両状態チェック機能では、MySubaruモバイルアプリなどで、走行距離やタイヤの空気圧など車両診断をオンデマンドで入手することができる。

盗難車両の回収機能では、車両が盗難にあった際、カスタマーケアアドバイザーが警察と協力し、GPSの位置情報を使用して車両を回収する手助けを行う。このサービスが行われると、イモビライザーが機能して車両の電源が入らなくなる。


リモートサービスでは、ドアの施錠や解錠、リモートホーン、ライト、車両ロケータなどの遠隔操作が可能となる。メンテナンス通知機能では、メンテナンスが必要な際に適切なタイミングで電子メールによって通知する。診断アラート機能では、警告灯などが表示された際に電子メールやテキスト、MySubaruモバイルアプリなどを使用し、その意味と説明を付けて通知してくれる。車両セキュリティ警報通知機能では、セキュリティアラームが作動した際に自動通知してくれる。

STARLINKマルチメディア

マルチメディア機能では、「Apple CarPlay」や「Android Auto」と連携できるほか、標準でBluetoothが備わり、電話やオーディオシステムをハンズフリーで操作できる。このほか、簡単な音声コマンドで、ナビゲーションやエンターテインメント、電話、一部モデルでは室温調節などの機能を制御することができる。

Wi-Fiコネクティビティ

「STARLINK Entertainment Anywhereパッケージ」を利用することで、内蔵のWi-Fi機能を利用して自分の好みのコンテンツのストリーミングやWeb検索などを行うことができる。Wi-Fiが搭載されていない車両でも、プリロードコンテンツを楽しむことができるという。

コンシェルジュサービス

レストランやホテルの予約、スポーツ、シアターイベントのチケット購入など、車内でリアルタイムのサポートを受けることができる。コンシェルジュは、ドライバーが興味を持ったポイントの検索を助け、ドライバー好みのサービス予定をスケジュールすることもできるという。


各サービスが利用可能な車種

自動衝突通知機能や路上支援機能、SOS緊急援助などがパッケージ化された「スターリンクセーフティプラス」や、スターリンクセーフティプラスに加えリモートロックなどの遠隔制御も可能な「スターリンクセキュリティプラス」などは、2019年発売の北米専用SUV「Ascent」や「Impreza」「Crosstrek」「Forester」で利用可能なようだ。利用には、6カ月~3年間の無料トライアル後、月額4.95~9.95ドル(約540~1080円)が必要だ。

最新機能を除いた「スターリンクセーフティプラス」パッケージなどは、2016年以降のモデルで利用できるようだ。

スバルのコネクテッドサービスの今後の展開

スバルのコネクテッドサービスは今のところ北米主体で、同社の米国法人は、2019年2月に公開した新型レガシィやアウトバックに「SUBARU STARLINK」サービスを拡充した。新たに「SmartDeviceLink」に準拠したアプリに対応し、スマートフォンのOSを問わず多様なアプリの体験が可能になるという。

一方、日本国内においては出遅れている感は否めない。実際同社は、2017年3月期年度決算のアナリスト向け質疑応答の中で、「電動化、自動運転、コネクテッドの中でどの優先順位がより高くなっているのか」との質問に対し、「コネクテッドは遅れており、全社的に力を入れて追いつかせなくてはという認識がある」と回答している。

今後については、2018年7月に発表した2018年から2025年までの新中期経営ビジョン「STEP」の中で、コネクテッドサービス「STARLINK」を順次グローバル展開し、将来のサービスプラットフォームの進化・拡充においては協調の可能性を検討しつつ、日本や北米などの主要市場で2022年までに8割以上の新⾞をコネクテッドカーにする目標を掲げている。

また、トヨタ自動車とのアライアンスの中で、EV(電気自動車)基盤技術の共同開発のみならず、コネクテッドをはじめとした新世代技術領域での連携強化についても協業を進めていくこととしている。

■【まとめ】協業か独自開発か? 選択迫られるスバル

スバル自らが認識している通り、コネクテッドサービスの分野では他社に出遅れている感は否めない。この分野ではIT系など異業種との際立った提携・協業もなく、今から他社を抜きんでるほどの開発力を秘めているイメージがもてないのだ。

だからといって悲観することもない。コネクテッドサービスの多くは技術的にも標準化が進んでおり、自動車メーカーにとっては汎用性が求められていく分野ともいえる。車両メンテナンス系のサービスなどの連動さえ叶えば、カーナビなどの車載システムに後付け可能な部分が多くを占める。ゆえに、テレマティクスサービス「G-BOOK」からの長い付き合いがあるトヨタとの協業により、優れたサービスを自車に落とし込んでいくほうが効率的とする見方もできるだろう。

独自のクルマ作りに定評があるスバル。コネクテッド分野で独自の道を切り開くのか、協業を進めるのか。遅れを取り戻すためにも、早期決断を迫られる状況だ。


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