自撮りアプリ「SNOW」のAI(人工知能)顔認識技術などを手掛けた香港企業SenseTime(センスタイム)が、スマートカー向けソリューションの新ブランド「SenseAuto絶影(ぜつえい)」を発表した。
DMS(運転手監視システム)や高度運転支援、コネクテッド化などにより、スマートカーの開発を一体的に支援することを目的としたブランドで、中国・上海で2021年7月7〜10日に開催された「世界人工知能大会(WAIC2021)」で公開されたという。
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■新ブランドで展開される3つのソリューション
「SenseAuto絶影」ブランドでは、3つのソリューション「SenseAuto Cabin」「SenseAuto Pilot」「SenseAuto Connect」が展開される。
SenseAuto Cabin:DMSやOMS、キーレスエントリーなどの機能
SenseAuto Cabinは、「安全」で「便利」で「楽しい」車内体験を実現することを目的にしたソリューションだ。DMSや乗員監視システム(OMS)、キーレスエントリー、バーチャルコンパニオン、拡張現実(AR)を活用した複数の車載インフォテインメント(IVI)機能を備えている。
注目はDMSで、自動設定機能をオンにすると、運転席やバックミラーの手動調整を省略できる。さらに、眠気や電話の使用といったドライバーの危険運転の兆候を検出し、警告を発する。ドライバーの視線追跡も行うという。
OMSでは、年齢や性別といった乗客の属性に応じた機能を提供する。例えば子供の場合、置き去りを検知する機能が有効になるようだ。
SenseAuto Pilot:自動運転レベル2の実装が可能に
2つ目のSenseAuto Pilotは、複雑な環境でも対応可能なビジュアルセンシングやLiDARセンシング、マルチモーダル意図予測テクノロジーを統合し、正確な判断と経路計画を実現する。これにより、自動運転レベル2(部分運転自動化)の実装が可能になる。
SenseAuto Connect:車両・道路とクラウド間のコネクトを効率化
3つ目のSenseAuto Connectは、車両・道路とクラウド間のコネクトを効率化し、ワンストップ管理を実現するという。
■ユニコーンを超えるデカコーン企業のSenseTime
AI分野における中国のトップ4社は「AI四小龍」と呼ばれ、SenseTimeもその一角を成している。現在の企業価値は120億ドル(約1兆3,000億円)で、ユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)を超えるデカコーン(企業価値が100億ドル以上の未上場企業)だ。
【参考】AI四小龍のSenseTime以外の3社は「メグビー(曠視科技)」「YITU(依図科技)」「クラウドウォーク(雲従科技)」。
SNOWの顔認識技術で一躍知名度を上げた同社だが、最近は自動車分野への注力ぶりが鮮明で、いずれIPO(新規株式公開)をすることになれば、次世代モビリティ領域で注目される上場企業となることは間違いなしだ。
【参考】関連記事としては「自動運転関連企業、上場済み企業と上場予定企業まとめ」も参照。