株式会社パスコ(本社:東京都目黒区/代表取締役社長:島村秀樹)は自動運転社会の実現などに向けて、早くから高精度な道路空間データの提供に取り組んできたことで知られる。そんなパスコから新たな報道発表が、2020年12月15日までにあった。
報道発表によると、詳細な路面状況を含む道路空間全体を計測可能な新たな計測車両システム「Real Dimension(リアルディメンション)」を開発し、11月から本格的に運用をスタートさせたという。
これまで道路空間データの計測では、自動運転に必要な高精度道路基盤地図整備では「MMS(モービルマッピングシステム)」、路面の点検・調査や維持管理では路面性状測定車「Real」を使用するなど、それぞれの目的に合わせた機能・車両を必要とした。
そのため新たな計測車両システムでは、このMMSとRealの機能を統合した。同社は「1台で道路空間全体を計測するとともに、機器やオペレーションの機能性と計測の安全性を強化、さらに、取得したデータの解析処理の効率化とデータ品質の向上を実現する」としている。
【参考】関連記事としては「モービルマッピングシステム(MMS)とは?自動運転向け地図作成を下支え」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) September 5, 2020
■計測車両システム「Real Dimension」とは
計測車両システム「Real Dimension」は、精度の高い「地図情報レベル500」の高精度道路基盤地図を作成するために、毎秒100万点計測が可能なレーザースキャナー、周囲360度の画像を取得するカメラ、GNSS(全球測位衛星システム)の受信機器を搭載している。
高い精度を要する路面性状の計測用としては、これまではひび割れ用のラインセンサーカメラやわだち掘れ用のレーザースキャナーを使用していたが、今回はレーザー光源と3Dカメラの組み合わせによる最新の計測システムを採用した。
新計測車両システムで取得したデータを活用したサイバー空間では、さまざまなシミュレーションを実施できる。自動運転技術も仮想空間でのシミュレーションが技術向上に不可欠なため、Real Dimensionに対する期待度は高そうだ。
■自動運転技術を縁の下で支えるパスコ
パスコは早い段階から、高精度3次元(3D)地図に交通情報などを付加した「ダイナミックマップ」の開発にも取り組んできた。ダイナミックマップももちろん、自動運転には不可欠なデータだ。
自動運転ではAI(人工知能)が花形的な技術だが、地図データに関する技術も無くてはならないものだ。縁の下の力持ち的な立場で技術革新に努めるパスコの今後に引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「【最新版】ダイナミックマップとは? 自動運転とどう関係? 意味や機能は?」も参照。