日産のサブスク「NISSAN ClickMobi(クリックモビ)」とは?

月額定額サービスが将来スタンダードに?





出典:ClickMobi公式サイト

日産自動車は2020年3月、クルマを定額で利用できるサブスクリプションサービス「NISSAN ClickMobi(クリックモビ)」を開始した。国内自動車メーカーではトヨタ、ホンダに次ぐ導入で、クルマの所有・利用方法の選択肢がまた一つ広がった。

今回はクリックモビのサービス概要を中心に、各社が展開するサブスクリプションサービスに触れていこう。







■サブスクリプションとは?

サブスクリプションは、モノを借りたりサービスを受けたりすることが可能な定額制サービス。新聞などの「定期購読」から派生したもので、広義では電車の定期券やインターネットの音楽配信、定額利用が可能なスポーツジムなどあらゆるサービスが展開されている。

自動車業界では、カーリースの一形態と考えればわかりやすい。サブスクリプションとカーリースに明確な線引きはなく、サービス提供者が従来のカーリースと区別した新たなサービスを展開する際に「サブスクリプション」と銘打つケースが多いようだ。

従来のカーリースは主に法人客がターゲットとなっていたが、サブスクリプションは個人客、つまりマイカーに焦点を当てている場合が多く、個人がクルマを所有・利用する上で適当なサービス内容・形態を採用している。

■日産のクリックモビとは?
クリックモビの概要は?

クリックモビは、日産の対象車種を諸費用込みの月額定額でリースできるサービス。諸費用には、自動車を登録する際に必要な登録諸費用をはじめ、重量税、自動車税・軽自動車税、環境性能割、自賠責保険、車検や消耗品などのメンテナンス費用が含まれる。各種アフターサービスも日産正規ディーラーが対応してくれる。

契約期間は3年、5年、7年の3パターンで、契約期間終了後は、リース契約を解約したり再度リースしたり、5年以上の契約であればクルマを購入することもできる。

2020年3月時点で選択可能な車種は「デイズX(2WD)」「デイズ ハイウェイスターX プロパイロットエディション(2WD)」「ノートe-POWER MEDALIST」「ジューク 15RX V Selection」「セレナ e-POWER ハイウェイスターV」「セレナ ハイウェイスターV」の6種で、月額料金は契約年数や月間走行距離などで細かく変動する。

車両本体価格については、契約年数終了時点の想定価値(残価)を除いた金額を支払う仕組みのため、イメージとしては残価設定型クレジットと諸費用コミコミにしたリースを一つにまとめ上げた印象だ。

月額料金のほかに利用者が負担するのは、大まかになるが駐車場やガソリン代、任意保険のみとなる。

クリックモビの料金形態や各車種の装備は?

料金は、車種や契約年数、頭金やボーナス払いの有無、月間走行距離、選択可能なオプション装備によって変動する。例えばデイズXを3年契約で月間走行距離1000キロ、頭金などのない月定額に設定した場合、月々3万6850円となる。7年契約で同条件の場合は2万5740円だ。

7年契約の同条件における他車種の料金は、デイズ ハイウェイスターXが2万7390円、ノートe-POWERが3万9600円、ジュークが3万6960円、セレナ e-POWERが5万3460円、セレナ ハイウェイスターVが4万9610円となっている。

各車種ともボディカラーを選択可能で、デイズ2種は「SOSコール」の有無をオプションとして選ぶことができる。

全車共通でカーナビゲーションやETC、ドライブレコーダーが標準装備されるほか、踏み間違い衝突防止アシストやインテリジェントエマージェンシーブレーキ、インテリジェントアラウンドビューモニター、インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)、BSW(後側方車両検知警報)など、ADAS(先進運転支援システム)が各車別で装備されている。

メンテナンス時の対応は?

交換部品は、6カ月点検時にエンジンオイル、12カ月点検時にエンジンオイル・オイルフィルター・ワイパーリフィール、車検整備時にエンジンオイル・オイルフィルター・ワイパーリフィール・LLC(冷却水)・ブレーキオイルを無償で交換してくれる。

説明が重複するが、車検費用や各種税金は月額料金に含まれている。

申込方法は?

クリックモビの申し込みはWEBから行うことができるのも特色の一つだ。公式サイトから好みの車種を選択し、ボディカラーや任意オプション、支払いプランなどを選択すると月額料金が提示されるので、支払金額などを確認して申込ページ(リース審査)へ進む。

リース審査は、必要項目に答えて運転免許証の画像をアップロードするだけで開始され、審査結果はメールで通知される。

審査が完了すると、登録した住所に契約関係書類が届くので、送られてきた書類に記入・捺印して返送すれば契約完了となる。印鑑や印鑑証明書、場合によっては本人確認書類も必要となる。後日、希望した納車日に自宅に納車される流れとなる。

クリックモビの公式サイトには、気軽に利用可能なチャット機能も備わっており、専任オペレーターに不明点や試乗・実車確認の相談などをすることができ、必要に応じて最寄り店舗の案内や取り次ぎを行ってくれる。アフターサービスは日産販売店のカーライフアドバイザーが対応してくれる。

【参考】公式サイトは「こちら」。

対象地域は?

2020年3月時点では、北海道札幌地区と愛知県、岐阜県、静岡県、三重県在住の方が対象となる。サービスは順次拡大する方針だ。

どんな人におすすめ?

日産では、「クルマが欲しいけど手続きやオプションが面倒そう」「車検や点検などの突然の出費が不安」「家でリラックスしながらクルマを選びたい」「店舗での価格交渉が苦手」「契約や納車のために店舗にいくのが苦手」「購入後のメンテナンスが心配」――といった方々にクリックモビをおすすめしているようだ。

販売店には申し訳のない次第だが、セールストークや過度な接客が苦手な方にはもってこいのサービスと言える。また、自動車の維持に係る各種支払いや手続きなどもほぼ一元化されるため、シンプルに契約・利用することが可能になる。

トヨタの「KINTO」との一番の違いは?

後述するトヨタのサブスクサービス「KINTO」との主な違いとしては、クリックモビの場合は任意保険が月額料金には含まれていないことがある。任意保険は利用者が別途加入する必要があるので、クリックモビを利用する際には各自で対応しよう。

任意保険料が一律で月額料金に含まれていないことで、年齢が若くない人や長く事故を起こしていないなどの理由で保険の等級が高い人にとっては、お得感がある仕組みであると言える。そのため、これまでずっと車を持ち続けてたけど今後も乗り続けるか分からない——といったミドル層の利用も増えそうだ。

その他に知っておきたいこと

過度な修理やドレスアップを行う場合は、契約終了時に原状復帰費用が発生する可能性がある。ただし、内外装の10万円相当分までの修理は料金内に含まれているため、小傷などに神経質になる必要はなさそうだ。

走行距離は、契約満了時に総走行距離に対して超過した分を請求する形式のため、特定の月に超過走行しても問題はない。

■他の自動車メーカーの取り組み
トヨタ、一足先に「KINTO」を立ち上げ

国内自動車メーカーのサブスクリプションサービスは、トヨタ自動車が一足先に「KINTO」を立ち上げ、2019年2月からサービスを提供しているほか、ホンダも2020年1月に「Honda Monthly Owner(ホンダ・マンスリー・オーナー)」をスタートしている。

KINTOはトヨタ車種から車両を選択できるプランとレクサス車種から選択できるプランがある。トヨタ車種はパッソから最新のヤリスやカローラスポーツ、プリウス、クラウン、アルファード、RAIZE、RAV4、C-HR、ハリアー、ランドクルーザーに至るまで全20車種に対象を拡大しており、月額料金はパッソの3万2780円~からクラウンの9万5700円~までラインアップの拡大を図っている。

レクサスはUX(月額7万4800円~)からNX(同8万6900円~)、LX(同19万8000円~)、LS(同23万6500円~)まで8車種がそろっている。

定額料金には車両代金や選択したパッケージプランの装備品代金をはじめ、自動車税などの税金・手数料や任意保険を含む自動車保険、メンテナンス費用、車検時の代車費用などが含まれている。

基本3年契約で、契約満了時に他の車種への乗り換えやそのまま返却などができる。レクサスのプランでは、3年契約のうち1年ごとに3台、半年ごとに6台の車種を乗り換えることが可能な「KINTO FLEX」も用意されている。

このほか、福岡トヨタが1年契約でサービスを提供するオリジナルKINTO「KINTO ONE FT」を実施したり、群馬トヨタのU.park高崎江木店が4年契約で中古車を定額利用できる「U-CAR KINTO ONE」を実施するなど、各店独自のサービス展開も始まっているようだ。

トヨタが2019年12月に開いた記者会見に関する報道によると、2019年2〜11月までのKINTOの申し込み件数は951件という。決して多いはと言えない数字で、ラインアップの拡充や中古車版KINTO ONEのトライアル実施、グローバル展開など図り、サービスの浸透を図っていく構えのようだ。

ホンダ、中古車を対象にした「Honda Monthly Owner」

一方、ホンダは2020年1月、最短1カ月から利用できる定額モビリティサービス「Honda Monthly Owner(ホンダマンスリー オーナー)」を、中古車を対象に開始した。

最短1カ月で乗り換えや返却ができる点や中古車を対象としているのが特徴で、月額利用料金には他社同様税金やメンテナンス費用、自動車保険料などがすべて含まれている。予約から利用に至る手続きもスムーズで、WEBの申し込みと郵送される書類で簡単に手続することができる。なお、登録にはクレジットカードと運転免許証が必要だ。

埼玉県内のHonda認定中古車販売店「U-Select(ユーセレクト)城北」でサービスを開始し、今後順次拡大していく予定としている。

月額料金は2万9800円から1万円刻みで5万9800円まで設定されており、公式サイトの検索画面では中古車を検索する際と同様に車種名やボディカラー、年式、走行距離、駆動方式などで好みの車両を探すことができる。

国内草分けのIDOMやDeNA系企業も参戦

自動車メーカー以外では、中古車買取・販売業を手掛けるIDOMが月額定額でクルマ乗り換え放題のサービス「NOREL」を2016年から実施している。新車や中古外車などガリバーの在庫にある約150種もの登録車種から乗りたいクルマを選べるところが特徴で、月額3万9800円の2年割りプラン、5万9800円の通常プラン、BMW・MINIに乗ることができる7万9800円の新車・未使用車プランがある。

このほか、ディー・エヌ・エーとSOMPOホールディングスによるモビリティ事業を手掛けるDeNA SOMPO Carlifeも2019年6月、クルマ定額サービス「SOMPOで乗ーる」を開始している。国内全メーカー全車種に一部海外メーカーを含む豊富なライナップで、軽トラックからトヨタのセンチュリーまで選択することが可能だ。

海外勢も軒並みサービス展開

海外自動車メーカーも、ここ数年で軒並みがサブスクリプションサービスを導入している。2017年には、米ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード、独ポルシェが北米で、2018年には独BMWグループが英国など、独メルセデス・ベンツとアウディが北米で、2019年には独フォルクスワーゲンが英国でそれぞれサービスを開始している。

スウェーデンのボルボ・カーは日本国内でも定額サービス「SMAVO(スマボ)」を実施しており、2年で乗り換えられる「スマボ2/3」や3年で乗り換えられる「スマボ3/5」、登録後18カ月以内で走行距離1万2000キロ以内のセレクト車に乗ることができる「SELEKT SMAVO」などを用意している。

■【まとめ】サブスクリプションが自家用車の在り方を変える

サブスクリプションブームと呼んでも違和感がないほど各社がここ数年でサービスを導入している。各社の事業がどこまで軌道に乗っているかは不明だが、根底には自家用車の「所有から利用」へのシフトがありそうだ。

サブスクリプションの導入によって一台のクルマの流動性が高まることは事実で、新たなビジネスモデルの確立に各社が躍起になっている段階が今なのだ。

また、DeNA SOMPO Carlifeのように、自動車メーカー以外の企業による新車サブスクリプション業への参入も非常に興味深い。従来のディーラー中心の販売形態から、大きな転換を図る節目を迎えつつあるのかもしれない。

今後は、どのような契約内容であれば利用者の支持を得られるのか……といったサービス開発を軸に、各社の競争が過熱する可能性が高い。自家用車の在り方を変えるサブスクリプションの今後の展開に要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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