イーロンマスク氏、「空飛ぶクルマへ参入」の現実味

必要な技術とビジネスモデル「すでに保有」



テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Public Domain

米金融大手のモルガン・スタンレーのアナリストは最新レポートで、米EV(電気自動車)大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が近い将来、空飛ぶクルマ(eVTOL:電動垂直離着陸機)事業に進出するだろう、と予想した。

アナリストはレポートで「マスクCEOはeVTOL事業参入について積極的に発言してきたことはないと理解している」と前置きしつつ、「ただ、テスラがこのeVTOL事業に必要な技術とビジネスモデルをすでに保有しており、これらを応用すれば参入は容易だ」とした。







特に、テスラが有する自動運転支援技術やバッテリー技術などは、eVTOL事業とのシナジー効果が大きいという。そのほかテスラは充電技術のほか、OTAによる無線アップデートのためのネットワーク技術も有している。

ちなみにモルガン・スタンレーは空飛ぶクルマの市場規模が、2040年には1兆ドル(約110兆円)を上回り、2050年には9兆ドル(約1,000兆円)を超えていくと予想している。

■可能性十分!ただし、ライバルは既に多し

マスク氏は実にさまざまな事業を手掛けてきた。オンライン金融サービス、脱炭素に向けたエネルギー関連ビジネス、宇宙輸送サービス、脳科学、そして本業とも言えるEV事業などだ。そんなマスク氏だ。空飛ぶクルマ事業への参入は十分考えられるだろう。

ただし空飛ぶクルマの市場は、欧米や中国、日本などのスタートアップのほか、ボーイングやエアバスなどの航空機メーカーやトヨタなどの自動車メーカーなども、直接もしくは出資という形で参入しており、敏腕経営者のマスク氏でも勝ち抜くのは容易ではない。

例えば韓国の現代自動車は「空飛ぶタクシー」を2025年に実用化できると公言しており、完全実用化を目指して米ウーバー社とも連携を強めている。

米ゼネラル・モーター(GM)も、2021年に世界最大の技術見本市「CES 2021」でeVTOLのコンセプトモデルを発表。同じタイミングでフィアット・クライスラー(FCA)もeVTOLの開発でベンチャー企業との協業を発表している。

トヨタは日本の空飛ぶクルマベンチャーのSkyDriveに出資しているほか、空飛ぶタクシーの実用化を目指す米Joby Aviationへの出資も発表している。ちなみにSkyDriveは2020年8月に有人飛行を成功させている。

テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Heisenberg Media/Flickr (CC BY 2.0)
■市場の有望性、テスラの技術力、マスク氏の先見性を考えれば…

マスクCEOが空飛ぶクルマ市場への参入に言及したことは今のところないようだが、空飛ぶクルマ市場の有望性、テスラが保有している技術力、そしてマスク氏の先見性を考えれば、空飛ぶクルマ市場への参入は十分に考えられる。

モルガン・スタンレーのレポートではこう述べている。「確信しているわけではないが、われわれはテスラのクルマが、路上はもとより、将来、地下のトンネルや火星にまで進出していくことを知っているが、上空はまだだ」

▼テスラ公式サイト(米国)
https://www.tesla.com/
▼テスラ公式サイト(日本)
https://www.tesla.com/ja_jp

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
登壇情報









関連記事