空飛ぶクルマで「宇宙」へ!VRで未来体験、Dream Onが掲げることとは?

社会受容性向上に向けた取り組みを推進



オンライン発表会の様子=出典:Dream-On Management

空飛ぶクルマの開発を進めていた有志団体「CARTIVATOR」が名称を「Dream On」にリニューアルし、事業を一新させることを2021年2月15日までに発表した。活動テーマを「未来へのタイムマシン」と改め、新たなステップを踏み出す。

心機一転、どのような事業に乗り出すのか。同団体のこれまでの歩みを振り返りつつ、未来に向けた取り組みを紹介する。







■Dream On(CARTIVATOR)のこれまでの取り組み

CARTIVATORは、自動車や航空業界などの若手社会人有志が集まり、「モビリティを通じて次世代に夢を提供する」ことをミッションに2012年に活動を開始した。2014年に空飛ぶクルマ「SkyDrive」の開発に着手するなど、国内の空飛ぶクルマ開発分野においてはパイオニアの1つに数えられる。

CARTIVATORは一般社団法人として活動しているが、本格的な事業化に向け、空飛ぶクルマの開発や製造、販売、運用サービスまでを手掛ける企業「株式会社SkyDrive」を2018年7月に設立した。

2組織による共同開発を進め、2018年9月に無人機の飛行試験、2019年12月に有人機の飛行試験、2020年8月にはデモフライトを実現している。

現在は、人の移動を可能にするエアモビリティと、重量物を運搬するカーゴドローンの開発に主軸を置いているようだ。

■Dream Onのこれから
活動を通じて直面した2つの課題

活動テーマ変更の背景には、CARTIVATORとしての8年間の取り組みを通じて浮き彫りとなった2つの課題がある。

1つは「未知のものに対する議論や価値検証の困難さ」だ。官民協議会や各種コンソーシアムなど多くの議論の場に参加したが、未知の技術やサービスの議論であるため前提がずれたり、検証が困難なため合計形成が難しかったりするなど、苦労するシーンに直面したという。

もう1つは「実際に夢を実現するための一歩目を踏み出すことは難しい」という点を挙げている。多くの講演機会の中で「夢を持つ勇気をもらった」「自分も何かに挑戦したい」といった声をもらう一方、「能力がなくて自分には出来ない」「今の環境では難しい」と思ってしまう場合も多くあるように感じたという。

夢の実現に向け、人の「意識」を変えるようなきっかけを提供することが出来ないか――という思いが膨れていったようだ。

課題解決に向け新ビジョン策定

こうした課題の解決に向け、「一度未来を体験すれば、意識が変わり、行動も変わっていくのではないか」と思い至ったのが新たなビジョンへの第一歩となる。一度体験することで未知・未体験のものに対する認識が変わり、共通理解が進むのだ。

未知の技術を要する未来の体験は容易ではないが、VR(仮想現実)技術などを活用することで仮想世界上に未来を構築し、五感まるごと没入するような仕掛けは可能と思い至り、新たな一歩を踏み出したのだ。

こうした経緯から、SkyDriveとCARTIVATORで役割を分担し、SkyDriveが空飛ぶクルマの機体開発を推進していく一方、CARTIVATORは空飛ぶクルマの社会受容性を高めるような活動を行なっていく方針を2020年11月に発表した。

After 2020のCARTIVATORは「タイムトラベルによる“未来生活体験”の実現〜Future Life EXperience PlatForm(FLEX-PF)〜」をビジョンに据え、空飛ぶクルマによる移動体験をはじめ、さまざまな未来の生活を体験出来るような仕掛けを創り、夢の実現を加速させていくとしている。

第1弾となる活動では、空飛ぶクルマで東京上空を飛行体験するコンテンツを企画した。映像と音声だけのVRではなく、小型EV(電気自動車)を使い、加速度や浮遊感、さらには風も体感できるものにするという。

新たな「フライト」へ

2021年1月、新たな「フライト」に向け、団体名を「Dream On」に改称し、活動テーマを「未来へのタイムマシン」へと一新した。活動拠点は、愛知県豊田市の「ものづくり創造拠点SENTAN」に加え、東京都港区の「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー内CIC Tokyo」にも設置している。

中長期的ビジョンとしては、世界中で未来生活が体験できるテーマパーク「Future Life EXperience Park(FLEX Park)」の展開を目指す「FLEX Park構想」を掲げた。

パーク自体はコンパクトな実空間となるが、仮想空間上では無限の広さを持つパークとし、通常のVRのような視聴覚の体験だけでなく、加速度や触覚などあらゆる感覚を体感することで、実体験したかのような圧倒的な臨場感と没入感を得られるものを作り上げていく。

2025年までに世界100拠点での展開を目指す。第一弾は2021年7月、CIC Tokyoに「FLEX Park Tokyo」をオープンさせ、その後2023年までに世界10拠点でオープンする予定。

体験コンテンツの第一弾は「空飛ぶクルマの体験用VRシステム」で、車両はNTPホールディングス、3次元地図はキャドセンターとインクリメントP、パスコ、VRコンテンツの実装はサイクロンエンターテインメントがそれぞれ協力している。

今後、7月のオープンまでに宇宙に行って地球を見る体験をはじめ5個、年内には10個のコンテンツまで増やしていくことを目指すとしている。

■クラウドファンディングも実施

引き続き企業向けスポンサープログラムやコンテンツ共同企画プログラムなどを用意し、支援や協力を募っているほか、個人・法人向け応援プログラムとして、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」を通じて2021年2月から3月まで支援を募る。

リターンとして、支援額に応じてオリジナルグッズや空飛ぶクルマのコンテンツ優先体験、コンテンツ内での氏名や企業ロゴ掲載などが用意されている。

【参考】CAMPFIREの募集ページは「こちら」。

■【まとめ】夢物語を現実に Dream Onの取り組みに注目

一昔前にはアニメや映画の世界にのみ存在していた空飛ぶクルマが近い将来実現する見込みだが、まだ夢物語と感じる人も多いのではないだろうか。Dream Onは、こうした夢物語に現実感を持たせる取り組みを推進することで、未来に向けた歩みを促進し、未来技術を受け入れられる社会環境を作り上げていくのだ。

自動運転も同様で、自動運転技術に半信半疑の方が、たった一度の試乗体験を通じて自動運転を現実のものとして認識することは珍しくない。体験を通じて社会受容性は一気に増すのだ。

空飛ぶクルマをより身近なものとして感じさせるDream Onの活動。第二弾、第三弾のコンテンツにも期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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