MOV提供のDeNAのタクシータブレット動画広告内容と掲載方法は? Premium Taxi Visionの媒体資料を読み解く

タブレット搭載車両は今後も増加見込み





出典:DeNAサイト「https://dena-taxiad.jp/」トップページより

AI(人工知能)を活用したタクシー配車アプリ「MOV」を東京都、神奈川県で展開する株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長兼CEO:守安功)=DeNA。近々京阪神エリアにも進出予定で、まだまだ拡大路線は続く見込みだ。

配車アプリ競争は激化の一途をたどっており、競合他社との差別化がポイントになってくるが、同社の取り組みとして目を引いたのが「0円タクシー」だ。契約スポンサーとMOVの広告宣伝費から乗客の乗車料金を支払うことで乗車料金を無料にするプロジェクトで、「0円タクシー」という思い切りの良さが大きな注目を集め、訴求効果は文句なしだったのではないだろうか。







広告媒体としても注目を集めるタクシー。特にデジタルサイネージを活用した広告手法がブームと呼べるほど広がりを見せており、同社も2019年2月に動画広告配信サービス「Premium Taxi Vision by DeNA」を開始した。今後、MOVの提携タクシー事業者の増加とともにタブレット搭載車両も増加し、動画広告提供エリアが拡大する見込みで、広告媒体としての潜在能力はまだまだ計り知れないところだ。

今回は「Premium Taxi Vision by DeNA」の広告の掲載方法やメニューなどを掘り下げ、タクシーにおける動画広告配信サービスの可能性について触れてみよう。

■概要
Premium Taxi Vision by DeNAとは?

DeNAが2019年2月に正式スタートしたタクシー向け動画広告配信サービス。タクシー車内というパーソナル空間で情報感度の高い利用者らへアプローチでき、至近距離に設置された大画面で音声付きの訴求ができるため、高い広告到達率、認知度向上を期待できる。

2019年4月時点で東京都内約4000台、神奈川県内約4000台の計8000台の提携タクシーにタブレットを搭載しており、10.1インチワイドの画面に高精細な動画広告を配信している。月間延べリーチ数は520万人という。

なお、配車アプリのMOVは2019年1月に国際興業大阪、同年4月にアオイ自動車、ギオン自動車、都タクシー、ホテルハイヤー、洛東タクシーなどとの協業を発表しており、大阪府、京都府エリアでのサービスを近く開始する予定。これに合わせ、動画広告配信サービスも京阪神地域に拡大される見込みとなっている。

広告は、乗客がタクシー乗車後に料金メーターと連動して表示されるため、実車中以外のタイミングで表示されることはない。また、乗客側はいつでも画面を消すことができる。

タブレットには広告のほか、共同通信社と連携し、車内コンテンツとして多言語対応した最新のニュースも配信している。広告の合間にこうしたニュースを流すことで、タクシー利用者の視線を画面に自然に集めることができるという。このほか、電車遅延などのタイムリーな交通情報や運賃・料金表、降車時の支払い案内なども表示できる。

今後、同社が業務提携している、AI技術開発を手掛ける中国のSenseTime Group Limited(センスタイム)が提供する「SenseME」の顔認識技術を活用したAIソリューションを、広告表示の属性判定として導入予定という。

SenseMEは、画像や動画から顔や全身の特徴を把握し、リアルタイムにモバイルでエフェクトなどの画像・映像処理ができ、動画配信サービスや写真加工アプリ、広告表示の属性判定など、100以上のサービスに導入されている技術。これをもとに乗客の性別や年代などを推定し、より最適と予測される広告コンテンツを配信していく考えだ。

3種類の広告と各種コンテンツを配信

広告は、まず発車直後に「Top Movie」が再生され、コンテンツを挟みながら「Advanced Movie」「Standard Movie」と続く(各広告メニューの詳細は後述)。「Advanced Movie」と「Standard Movie」の広告は同枠内でそれぞれランダム表示される。長時間乗車によって全広告が表示された後などは、「Standard Movie」がループ再生される。

掲載期間は月曜日から日曜日までの1週間単位となっている。

申し込み方法

2019年7~9月期のMEDIA SHEET(媒体資料)を例にすると、申し込みの受付開始日は5月7日、仮押さえは5月14日で、それぞれメール先着順となっている。

掲載開始までのフローは①広告主審査(3~5営業日)②空き枠確認(1営業日)③仮押さえ④クリエイティブ審査(5営業日)⑤申込手続き⑥入稿(7営業日)⑦手続き完了⑧掲載開始-となる。

広告主審査では、企業名や訴求するサービスや商材とクリエイティブを送る。仮押さえの有効期間はメール送信日を含め5営業日後の17時までで、これを過ぎると自動キャンセルされるので注意が必要。

クリエイティブ審査は、掲載開始希望日から12営業日前の17時までに審査用(内容は本番入稿用と同じ動画素材)を送る。入稿は、掲載開始希望日から7営業日前の17時までに入稿規定に沿ってデータを送る。

申し込みや空き枠確認、入稿などは基本的にメールで行う。それぞれ専用フォーマットが設けられている。

入稿素材や掲載基準

動画のフォーマットはmp4形式で、サイズはW1280×H720(W1920×H1080にも対応可)、ファイルサイズは「Top Movie」が最大200メガバイト、「Advanced Movie」「Standard Movie」が最大100メガバイトまでとなっている。

無償オプションのエンドキャップ画像はpngまたはjpeg形式で、W1280×H720、最大2メガバイトとなっている。同じく2次元コード付き画面も無償オプションとして表示可能で、映像配信中やエンドキャップ画像表示中に画面をタップすることで、指定したURLから生成した2次元コード(QRコード)を表示することもできる。

法令または公正競争規約に反する恐れがあるものや、公序良俗に反するもの、責任の所在が明確でないもの、虚偽・誇大なもの、アダルト・風俗関係のもの、第三者を誹謗中傷するものや第三者の権利を侵害するもの、DeNAや他社との間で係争が生じる恐れがある商品やサービスなど、DeNAが不適切と判断したものは掲載できない。

また、掲載NG業種として、一部の貸金業や証券投資顧問業、手形割引、医療広告のうち通院の啓発・治験、避妊具、パチンコ・パチスロのホール・メーカーやそれらの必勝法など、カジノ・オンラインカジノ、結婚情報サービス・恋人紹介サービスなどの一部出会い系、探偵、宗教、意見広告、選挙・政党広告、アダルト、占い、葬儀関連、特定非営利活動法人、仮想通貨などが挙げられている。

このほか、クリエイティブ表現として、過度に騒いだり怒鳴ったりする表現や1枠で複数のクライアントやブランドの広告を流すもの、プライバシーの侵害やセクハラにあたるもの、反社会的勢力によるものなどもNGとしている。

【参考】詳しくは「Premium Taxi Vision by DeNA」については「DeNA、タクシー後部座席の動画広告配信をスタート 1万台で配信」も参照。「Premium Taxi Vision by DeNA」の公式サイトは「こちら」。

■広告メニューの詳細
Top Movie:映像配信のトップを飾り、全乗客に視聴される広告枠

発車直後、料金メーターと連動して1本目に表示される広告枠で、全ての乗客が目にする最も効果の高い枠だ。動画は最大60秒まで対応しているため、関心を引き付けるストーリー性の高い動画の展開も可能。動画再生終了後に静止画を表示させるエンドキャップも無償オプションで6秒まで表示させることができる。

枠は1枠のみで、広告料金は250万円。1週間の表示回数は50万回で、表示1回あたり5円の計算となる。1ターム(7~9月)における1広告主あたりの掲載は合計4週間までとなっている。最大入稿本数は2セットまでで、途中差し替えは1週間に1セットまで。配信終了後、再生数や再生完了数、詳細タップ数などがレポートされる。

Advanced Movie:Topに次ぐ2、3本目の広告枠 全乗客にアプローチ可能

「Top Movie」表示後の広告枠2、3本目に配信される、全乗客にアプローチ可能な広告。動画は最大30秒までで、エンドキャップ表示も可能。

枠は2枠で、ニュースなどのコンテンツを挟んでランダムで表示される。広告料金は各200万円で、1週間の表示回数は50万回。表示1回あたり4円の計算となる。同一週に2枠申し込んだ場合、最大60秒までの長尺も可能となる。最大入稿本数・途中差し替え・レポートは「Top Movie」と同様。

Standard Movie:表示1回あたり単価2.5円の低価格帯広告

「Advanced Movie」表示後、広告枠の4本目以降にコンテンツを挟んで配信される、低価格掲載可能な広告。ループ再生されるため、1回の乗車で複数回視聴される可能性もある。動画は最大30秒までで、エンドキャップ表示も可能。

枠は6枠で、広告料金は各150万円。1週間の表示回数は60万回で、表示1回あたり2.5円の計算となる。同一週に2枠申し込んだ場合、最大60秒までの長尺も可能となる。最大入稿本数・途中差し替え・レポートは「Top Movie」と同様。

■【まとめ】提携車両数やエリア拡大で広告メニューの多様化に期待

冒頭で述べたように、提携タクシー車両数は今後増加していく見込みで、広告の訴求効果もさらに向上するものと思われる。また、現在の広告メニューは3種類にとどまるが、車両数やエリアの拡大とともにバリエーションも増えていく可能性が高い。AIを駆使したターゲット戦略や、「0円タクシー」のようなアイデアの活用など、既成概念を覆すIT系企業ならではの新しい広告商品の登場にも大いに期待したい。







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