ひろゆき氏「人間のタクシー無くならない」と持論

ロボタクシー登場でも共存説



出典:Wikipedia / Joichi Ito

ロボタクシーの世界展開が大きく加速し始め、日本でも2027年中に複数のロボタクシーがサービスインすることが濃厚となった。

無人移動サービス時代の到来だ。ドライバー不在の自動運転車両が利用者の移動需要を満たす時代だ。E2E AIによる技術が確立されれば、その汎用性は一気に高まり、大都市圏から地方へと普及も一気に拡大していく可能性が高い。


こうした近未来の自動運転時代、従来のタクシードライバーはどうなるのか。職業として成立しなくなり、すべていなくなってしまうのだろうか。

実業家のひろゆき氏によると、「なくなることはない」と言う。どのような理由によるものか。ひろゆき氏の考えを紹介しながら、未来のタクシードライバー職について考察してみよう。

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■ひろゆき氏の持論の概要

「人間の力を借りたいっていう時が出てくる」

ひろゆき氏は、動画視聴者からの「人間が運転するタクシーはなくなるのか?」(厳密には、一般車も人が運転しない時代が来るのか?といった質問と思われる)という質問に対し、以下のように回答した。

フランスでは、テスラの無人運転の実験が始まった。その先には無人タクシーも来るかもしれないけど、人間が運転するタクシーが無くなるかというと、無くなりはしないでしょうね。結局、サービスとしてタクシーに何を求めるか、例えば車いすの人や高齢者とか、ある程度荷物を運んでほしい人とか、あと、地図がきちんとしている場所だと良いんだけど、行きたい場所の地図がちゃんとしていない場合、運転手さん、人間の力を借りたいっていう時が出てくると思う。フランスだとUberとタクシーが併存しているが、同じように棲み分け的なものになるんじゃないのかな。


つまり、運転以外に付随する業務などが発生し得るため、生き残りの余地はある……といった弁だ。タクシードライバーが担う業務は、乗客を安全に目的地まで運ぶ「運転」が大部分を占めるのが事実であり、実際ほとんどの乗車はこの運転操作と運賃収受だけで成立する。

しかし、スーツケースをトランクに入れたり、車いす対応を行ったりするケースも多からず発生する。レアケースとしては、「緑町の佐藤さんのところに行きたいんだけど」……といった漠然とした目的地に対し、乗客の記憶を頼りに探り探り運転することもあるだろう。泥酔者への対応や清掃面での車内環境の確認、落し物の確認なども必要だ。

また、過渡期においては、どうしても人間のドライバーによる運転で、現金で精算したいという需要も一定数残り続けるだろう。

■自動運転タクシーの未来

自動運転技術はあくまで「運転の自動化」

仮にE2E技術によりレベル5相当の自動運転システムが完成しても、その技術はあくまで「運転操作を代替」するものであり、付随するタスクなどは別物となる。大半の乗車は、この無人化技術だけでサービスを完遂できるものの、乗客からの細かい要望などに必ずしも対応できるわけではない。100%需要を満たせるわけではないのだ。


筆者は先日、足を怪我して松葉杖生活を余儀なくされ、マイカーを運転できないため病院までタクシーを利用した。配車依頼時、「松葉杖です」と伝えると、高確率でジャパンタクシーが配車された。スライドドアで開口部が広く、乗り降りしやすい車種だ。病院到着時は、スロープ前までクルマを寄せてくれ、「一人で大丈夫ですか?お手伝いしますか?」と声をかけていただくこともあった(ドライバーによるが)

【参考】関連記事「ひろゆき「自民党で自動運転はムリっす」」も参照。

ロボタクシーに細かな気配りは期待できない

こうした細かな気配り・心配りは、無人タクシーには期待できない。良くも悪くも無人タクシーの売りは「一律の安定したサービス」にある。

人間のドライバーであれば、運転技能や性格にばらつきがあり、乗り心地や車内の空気感は大きく変わりがちだが、ロボタクシーは一律で安全・安定した運転を行う。

しかし、人間のドライバーならではの心配りなど、良い面も一律で削られてしまう……という点も間違いなく出てくることになる。

ロボタクシーは、乗車する人が松葉杖であるかどうかを気にしない。病院に到着した際、玄関近くではなくマニュアル通り車道の路肩に停車してサービス終了となるかもしれない。

降雨時、停車したロボタクシーの乗降口(後部座席ドア)に大きな水たまりがあっても気にも留めてくれないかもしれない。

こうした細かい配慮を、E2EのAIが自ら学習することができるか?……と言えば、今しばらくは難しいのではないだろうか。ルールベースで一つずつ教え込むことは可能だが、乗員個別の状況や気持ちを因果関係に組み込むことは非常に難しい。

こうした細かな配慮的な要素と、荷物の受け入れなどフィジカルを伴う要素は、単純に自動運転技術が完成したとしても、すぐには解決不可能な要素と言えそうだ。

ロボティクスなどにより解決可能な面も

しかし、フィジカルAIの進展などにより、将来的にはこうした課題も一つひとつ取り除かれていく可能性は十分考えられる。

例えば、介助機能付きロボタクシーの開発だ。ロボティクスにより、車いす利用者をそのまま車内に乗車させることは不可能ではない。足腰が弱い人が乗り降りしやすい特別設計も不可能ではない。

現行の福祉タクシーがビジネスとして成立することを踏まえれば、一定かつ確実な需要が見込める。そのために専用設計ロボタクシーを開発するのも意義があるのではないだろうか。

同様に、重たい荷物をかんたんに車内に収納するギミックなども、現行技術で実用化することは可能だ。現状、自動運転技術以外の付加要素に力を入れる余力はあまりなく、かつ自家用車ベースが大半のためこうした機能の新規開発は特に進められていないものと思われるが、そのうち、他社と差別化を図る上で開発・実装が進むかもしれない。

「行き先があいまい」な際の対応も、現行ロボタクシーでは難しい。ロボタクシーは、事前に目的地を設定してから発車するため、「緑町の佐藤さん」は受け付けてくれない。カスタマーサポートに問い合わせても、おそらく佐藤さんを特定することはできないだろう。

とりあえず、マップなどから近場と思われる位置を指定し、そこで降りて自分の足で探すか、一度降車して再度配車依頼し、別の近場を指定して道すがら佐藤さん家を探すか……しかできないだろう。

もちろん、ロボタクシーによっては、目的地変更で近辺を周遊することも可能かもしれない。結構な手間と料金がかかりそうだが、解決不可能ではなさそうだ。

ロボタクシー普及期を迎えても、しばらくは有人タクシーも共存する

技術を駆使すれば、ある程度の付加タスクも無人で行うことができる可能性は高そうだ。あとは、費用対効果や社会性などを考慮し、実際に開発・実装に向けた取り組みが進められるかどうかだろう。

E2E自動運転によるロボタクシーは、テスラがレベル4による運用を開始しており、産声を上げたばかりと言える。従来のルールベースでは普及に相当な時間を要することになるが、E2E自動運転が本格実用化域に達すれば、大都市から地方の隅々に至るまで瞬く間に普及する可能性がある。

法規制や社会受容性の影響なども免れないところだが、もしかしたら2030年までにその域に達しているかもしれず、ロボタクシーの生産が追い付かないほどの「大普及期」を迎える可能性もあるだろう。

ただ、その時点では前述したドライバーの付加タスクを解決する段階には至らず、総数を減らしつつも人間のドライバー職は残る。ロボタクシーが全国に行き渡るまで時間を要し、また頑なに人間のドライバーにこだわる層が一部で残り続けるため、今しばらくは既存のタクシーも生き残るものと思われる。

そのころには、逆に「人間による運転」がショーファーのような感覚で付加価値化されているかもしれない。

徐々にドライバーの概念が失われていく時代に

では、2040年代以降も人間のドライバーは残り続けるか?――と問われれば、残るとは断言できないのではないだろうか。

おそらく、バスやトラックといった職業ドライバーも相当数がコンピュータに置き換えられ、ドライバー職の新規求人もほぼなくなっているものと思われる。

また、自家用車におけるレベル5が実現すれば、運転免許制度も従来の枠組みから大きく外れ、徐々にドライバーの概念が失われていくことが想定される。モータースポーツも、自動運転が主流になっているかもしれない。

2035年にロボタクシー200万台超か 車両コスト70%削減で普及加速へ

■【まとめ】「馬」が「クルマ」になり、「ロボ」になっていく

E2Eロボタクシーが普及を開始しても、しばらくの間は人間のドライバーは生き残り、共存していくことになる。しかし、その数が徐々に減少していくことは間違いない。

世の中から「ドライバー」という概念が徐々に失われ、2040年代以降、この概念が完全に消える日が訪れるのかどうか――といった感じだろうか。

「人間の運転でなければ安心できない」……という考え方は、100年前の「馬じゃないと安心できない」という考え方に通じる。そういった時代がまもなく訪れようとしていることは間違いないだろう。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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