トヨタWoven City、片山大臣が「支援」検討

インベンターズの支援示唆



出典:金融庁

未来のモビリティ創造に向け着々と実証体制の拡充が進められているWoven Cityに、追い風が吹きそうだ。同所を視察した片山さつき財務大臣はその取り組みを絶賛し、支援を模索する意向を表明した。

テレビ局の取材に対し、片山氏は「実験に入ってくる会社は一部上場企業からベンチャー、自治体まである。そこに資金があるかどうか分からず、その支援を370兆円の中でできるのではないか」―-といった主旨の発言を行った。


370兆円というのは、日本成長戦略で計画されている官民投資の規模だ。積極財政を掲げる高市政権下では、自動運転分野への投資もしっかり計画されているが、Woven Cityにおける取り組みも対象にできないか検討する――ということだろう。

片山氏の発言を交えつつ、Woven Cityの最新動向に迫る。

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■片山さつき財務大臣の動向

Woven City絶賛「ぜひお手伝いしたい」

トヨタのWoven City=出典:トヨタプレスリリース

片山氏は2026年8月、Woven Cityを見学に訪れた。おそらく、日本成長戦略関連の視察と思われる。静岡朝日テレビによると、1時間半ほど同所内を見て回り、AI Vision Engineなどの説明を受けたという。

取材に対し、片山氏は「日本の生活をもっと便利に、日本をもっと良い国にというコンセプトで、最新のテクノロジーを使って、AIもすべて駆使してまちをつくるという理想のやり方」とWoven Cityの取り組みを絶賛した。


また、「いろんなスーパーシティ、スマートシティを見てきた中で、抜群に進んでいるしいろんな学びがあった。私も長いこと静岡県民をやっているのでぜひお手伝いしたい」「日本のトップ企業だからそれで自前でやっているが、実験に入ってくるいろんな会社、それこそ一部上場企業からベンチャー、自治体まであって、そちらは必ずしもやろうとしていることはすごく良いがそこに資金があるかどうかはわからない。その支援は、370兆円の中でたぶんできると思う」と述べ、高市政権下における日本成長戦略に絡め支援の在り方を模索する意向を示したようだ。

参画企業の支援を検討

Woven Cityを運営するトヨタグループの視点では、自社の資金面には余裕があり、わざわざ国の補助を受けて何らかの縛りを受ける必要はなさそうだ。しかし、同所での研究・実証を望む一般企業やベンチャーの視点でみると、話は別だ。

大企業はともかく、ベンチャーや大学の研究チームなどにおいては、やはり先立つモノが必要な場合がある。一部トヨタが支援するプログラムもあるが限定的で、公的支援があると非常にありがたい――と考える研究者は少なくないだろう。


主宰者であり民間として取り組むトヨタの意向が大前提となるが、参画企業・研究者を対象に新たな官民投資が行われれば、取り組みがいっそう加速することは間違いない。実証の場としてWoven Cityが国からお墨付きを与えられ、さらなる研究を呼び込むことも考えられる。

どのような形で国は支援メニューを模索するのか。また、間接的であれ国が関与することをトヨタは受け入れるのか。一民間企業の取り組みとして始まったばかりのWoven Cityだが、やはりトヨタの影響力は大きく、国も政治家も放っておくことはできない存在となっているようだ。

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日本成長戦略では自動運転分野に8.2兆円の官民投資を想定

2026年7月に公表された日本成長戦略では、17の戦略分野を中心に官民連携による危機管理投資・成長投資を行い、強い経済を構築するとしている。

その中の1分野であるデジタル・サイバーセキュリティの中に「自動運転技術」も盛り込まれており、高い世界自動車販売シェアや多様な走行環境、車両製造技術などの強みをいかし、E2Eの国産自動運転システムの開発などを促進していく。

主な目標として、2030年代における世界市場での自動運転車両販売台数のシェア約25%確保を掲げている。官民投資ロードマップによると、自動運転分野への投資額は2040年度までで8.2兆円と想定しており、投資による経済波及効果は187.3兆円と試算している。

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■Woven Cityの概要

2025年にフェーズ1始動

Woven Cityは、トヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地を活用して建設が進められている実証都市だ。モビリティのテストコースとして、またモビリティを再定義する場として、さまざまな企業や研究者を受け入れ実証を進めていく。

敷地は約70.8万平方メートルに及ぶ。このうち、4万7,000平米を造成して2025年9月にフェーズ1としてオープンした。今後、段階的に拡張していく計画だ。

住居やオフィスをはじめ、日常生活をサポートする店舗や飲食店、広場、駐車場、道路や信号など、まちとしてのさまざまなインフラが用意されており、実際の生活環境で実証実験を行いながらリアルなフィードバックを得ることができる。

インベンターズとウィーバーズが未来を紡ぐ

Woven Cityで研究開発や実証を行うものは、インベンターズ(Inventors)と呼ばれる。一方、住民や訪問者などはウィーバーズ(Weavers)と呼ばれ、実証などに積極的に参加し、フィードバックを付与する役割を担う。

インベンターズには2026年8月現在、ダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、増進会ホールディングス、インターステラテクノロジズ、共立製薬、ナオト・インティライミ、AIロボット協会、第一興商、Joby Aviation、トヨタファイナンシャルサービスが名を連ねている。

また、トヨタ自動車やウーブン・バイ・トヨタをはじめ、豊田自動織機、ジェイテクト、トヨタ車体、豊田通商、アイシン、デンソー、トヨタ紡織、トヨタ自動車東日本、豊田合成、トヨタ自動車九州といったトヨタグループ各社も参画している。

ウィーバーズはResidents(住民)とVisitors(訪問者)で構成される。フェーズ1において住民は300人ほどを計画しており、先行してトヨタ関係者とその家族ら100人程度が入居している。グループを束ねる豊田章男会長もウィーバーズの一人だ。

静岡県民対象に一般住民の募集も開始

2026年8月には、ついに一般住民の募集を開始した(締め切り済み)。募集数は25世帯ほどで、応募代表者が静岡県内の住民票を有する人が対象となっている。入居期間は2年間、間取りは1Rから3LDKまで、賃料は5~28万円の範囲となっているようだ。

応募状況などは不明で、インベンターズ関連の住人数にもよるが、キャパに余裕があれば追加募集することも考えられる。静岡県限定としているあたり高いハードルが設けられている感を受けるが、状況が気になるところだ。

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一般訪問の受付も

静岡県在住者を対象に、一般訪問者=One Day Weaversの受け入れも9月以降に開始するようだ。専用WEBサイトから予約し、Woven City IDを作成する必要がある。

One Day WeaversはWoven City内を自由に散策し、実証に参加することができる。ウェルカムセンターツアーやまちあるきツアーなども用意されるそうだ。Woven Cityと最寄り駅となる岩波駅などを結ぶ無料シャトルバスも運行する。

受け入れの都合上、しばらくは人数制限などが課されることになりそうだが、いずれは広く開放されるものと思われる。

■【まとめ】今後の動向に引き続き注目

静岡県民限定ながらウィーバーズの拡大も始まっており、Woven Cityでの実証もより充実したものへと変わっていきそうだ。

今後、新たに参画するだろう企業・研究者の存在や一般訪問の拡大、フェーズ2への移行など、話題と期待はまだまだ尽きない。Woven Cityの動向に引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「トヨタ長男関与のWoven City、ついに「見学解禁」」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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