米UberがソフトバンクGの投資先と共同で「高級EV×ロボタクシー」で自動運転の新市場開拓へ

2027年にヒューストンで



米配車サービス大手Uber(ウーバー)が、高級EVと自動運転を掛け合わせた新たなロボタクシー事業に乗り出す。組む相手は、ソフトバンクグループが出資する米自動運転開発企業Nuro(ニューロ)、そして米EVメーカーLucid(ルーシッド)だ。3社は2027年半ばに米ヒューストンでサービスを始める計画だ。
車両にはLucidの高級EVであるLucid Gravityを使い、Nuroの自動運転システムNuro Driverを搭載する。ヒューストンは3社の展開計画における第2の市場で、第1の市場であるサンフランシスコ・ベイエリアでの今年後半の立ち上げに続くものだ。3社は世界の数十都市への展開と最低3万5,000台の配備を最終目標に掲げる。


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■高級EVとロボタクシーの掛け合わせで開く新市場

Uberが高級EVと自動運転を組み合わせた、新しいタイプのロボタクシー事業に踏み出す。3社が2027年半ばにヒューストンで始めるサービスは、車両にLucidの高級EVであるLucid Gravityを採用し、そこにNuroの自動運転システムNuro Driverを搭載する点に特徴がある。Nuro Driverは米自動車技術会SAEが定める自動運転レベル4に相当する技術で、特定エリア内であれば人の介在なしに走行できる。

ロボタクシーの世界では、コストを抑えた小型車両を使う流れが主流だった。そのなかで、あえて高級EVを軸に据える。Lucid Gravityは5人乗りと7人乗りの構成を用意し、車両周囲を検知するルーフ搭載のセンサーを備える。

Lucid Gravity

広い室内と上質な乗り心地を打ち出し、自動運転タクシー市場のなかで乗車体験の質を競争軸に持ち込む狙いがうかがえる。Uberアプリから配車でき、利用者は普段の配車サービスと同じ感覚で高級EVのロボタクシーを呼べる。

【自動運転ラボの視点】
ロボタクシー競争はコストと台数の勝負に偏りがちだった。そこへUber陣営は高級EVという別の軸を持ち込む。乗車体験の質で差をつけられるなら、市場の評価基準そのものが変わりうる。

【参考】関連記事としては「米Uber150億円超を投下、「自動運転の巨大連合」の確立へ」も参照。


■ヒューストンを選んだ理由

3社がヒューストンを第2の市場に選んだ理由は明快だ。ヒューストンは米国第4の都市であり、走行する道や移動の種類が多様で、自動運転を試す市場として規模が十分にある。Uberは、自動運転に向けた規制の枠組みが整っている点も選定理由に挙げている。

現地の準備も進む。Uberはヒューストンのダウンタウンに5万平方フィート、およそ4,645平方メートルのデポ施設と専用の充電拠点を確保した。デポは車両の充電や整備、修理、清掃などフリート運用を支える拠点で、着工は2027年初頭が予定されている。2019年からNuroはヒューストンで走行を続けており、雨や嵐、路上の落下物といった現実の道路環境のなかでテストを重ねてきた。

■3社それぞれの役割分担

この事業は、得意分野の異なる3社が役割を分け合う構造になっている。Uberは配車プラットフォームとフリート運用を担い、10年以上にわたって蓄積してきた乗降地点のデータを持ち込む。Nuroは自動運転システムNuro Driverを提供し、現地でのテストと開発を主導する。Lucidは車両であるLucid Gravityを供給する。それぞれが最も強い部分を出し合う形だ。

Nuroにとって、この提携は事業転換を裏づける動きでもある。同社はもともと配達ロボットを手がける企業だったが、2024年に自動運転技術を自動車メーカーやモビリティ企業へライセンス提供する方向へ舵を切った。今回はそのソフト提供企業としての役割を体現する。車両を持つLucidにとっても、自社の高級EVをロボタクシー市場へ送り込む新たな販路となる。Nuroのテスト車両はカリフォルニアとテキサスに約100台あり、ヒューストンとサンフランシスコ・ベイエリアの両方で、セーフティオペレーター同乗のもと24時間体制の路上テストが続いている。


■最低3万5,000台が示す3社の本気度

3社が掲げる最終目標は、世界の数十都市への展開と最低3万5,000台の配備だ。この目標台数には、Uberの本気度がそのまま表れている。

出資の経緯をたどると、その意味がよく分かる。Uberは2025年7月の提携発表時、Lucidに3億ドルを出資し、6年間で少なくとも2万台の車両を購入すると約束した。接着2026年4月、その購入目標を少なくとも3万5,000台へと引き上げ、追加で2億ドルを出資して総額を5億ドルに拡大した。台数にして75%の上積みである。あわせて、より低コストなLucidの次期ミッドサイズ車両も将来のフリート計画に組み込まれた。ヒューストンはこの3万5,000台計画における展開拠点の一つであり、第1の市場ベイエリアに続く第2の市場という位置づけになる。

【参考】関連記事としては「Uber、ロボタクシー車両にテスラ選ばず!弱小Lucidを採用」も参照。

■高級EV×ロボタクシーが切り開く自動運転の新市場

高級EVとロボタクシーの掛け合わせは、自動運転タクシー市場の競争軸を広げる試みだと言える。先行するのはGoogle系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)で、すでに米国の複数都市で無人のロボタクシーを展開している。これに対しUberは、Waymoをはじめ十数社のパートナーを束ねるプラットフォーム戦略をとっており、今回のNuro、Lucidとの提携もその一環に位置づけられる。

3社が狙うのは、世界の数十都市に最低3万5,000台という大規模な展開だ。台数とコストだけでなく、高級EVによる乗車体験の質も競争の焦点になりつつある。ヒューストンという第2の市場は、その新しい市場が現実に動き出す試金石となる。高級EV×ロボタクシーという掛け合わせが、自動運転の新市場をどこまで開拓できるか。3万5,000台の計画が、その答えを示していくことになる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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